北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

新たな別名はキョンシー

先日、家の門を出た時のこと。
会うたびに言葉をかわす、仲のいい近所の女の子が、私を見てあろうことか、

「あ、キョンシーだ、キョンシー、キョンシー!」

知らぬ間にあだ名がついたらしい。

でも、キョンシーなんてよく知っているな。ま、確かに日本人は鬼(幽霊)とされてるし、私は半夜行性動物だし、しょうがない。
深夜に急にスイカを買いに出かけたりしてるもんな。あれ、見られたのかも。

でも、ふと思う。キョンシーって鬼は鬼でも中国人じゃなかったっけ?
と思いつつ、ふとその子のズボンをみると、巨大なキティちゃんのアップリケが。

「あっ、ハロー・キティーちゃん!!」

その子はきょとん。

「ってことは、あんたが日本人で私が中国人だね」

その子はさらにきょとん。

あ、純真な魂に、ばかばかしい分別を吹き込んでしまった、と後悔。

世界のキョンシーであり、世界のハロー・キティですよ。

というわけで、新たなあだ名命名に乾杯!