北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

2011-01-01から1年間の記事一覧

胡同一号の七不思議 アンチ完結編

実は、先日胡同1号を離れ、今は日本です。 北京には相棒と影武者を置いてきました。相棒も、年末には合流です。人生にはいろいろな曲がり角がありますが、今、私と相棒も曲がり角にいます。もろもろの都合で、いま今後の方向を二人で模索・検討中です。いず…

胡同一号の七不思議 その3 & 日本舞踊の公演のお知らせ

平凡にみえて深い謎を秘めた胡同一号。話題は尽きません。 そして不思議その五。胡同一号には大きな門があります。結構堂々とした門で、一時期テレビ番組でレポーターがしゃべる時のバックにも使われていたほどのもの。胡同からちょっとモノモノしく八の字型…

胡同一号の七不思議 その2

今度は怪談ではなく、謎ときできる七不思議 不思議その3 我が家には腰高の窓があって、新聞などはその外側の窓台に置かれることが多い。でも、郵便箱は共用で敷地の入り口にあるので、一日外に出ないとどんな郵便が来ていても分からない。 だが、時々窓辺に…

胡同一号の七不思議

締め切りをすでにすぎてしまった二つの重要なお仕事の編集者の方から、それぞれ「五月雨式でもいいから原稿を!」と言われているので、日記なんか書いていちゃいけないのだが、ちょっと息抜きに「五月雨式」日記を。 私の住んでいるのは某胡同一号。子供の頃…

母をたずねて三千里

長らく日記をお休みしてしまいました。今も過労死が怖くなるほどの忙しさ。でも、ちょっと近況報告します。実は先日まで、仕事の合間を縫って帰国していました。主には母の体調が悪いための帰国でしたが、お盆の頃でもあり、いつも使う航空会社のチケットは…

「取り返しのつかないあやまち」を巻き戻して再現--映画『重来』

しばらく連載の更新についてご報告を怠ってましたが、 映画コラム等々、何とか続けております。 最近紹介したのはこれ『重来』 http://www.insightchina.jp/newscns/2011/07/25/33219/ 妻の浮気という「取り返しのつかないあやまち」を「巻き戻して再現」せ…

泣きっ面に蜂と虻

中国語でも「禍不単行、福不双至(悪い事は重なり、良い事は重ならない)」というけれど、このところ私事に関して泣きっ面に蜂状態。今日はとうとうさらに虻まで来てしまった。 虻の部分はまたしても「家賃の値上げ」 いつものごとく突然大家さんが家賃を徴…

我が家のミニエコ改革

とつぜん深刻な話になってしまうが、先日起きた大地震は、いろいろな「ショック」を自分にもたらしたな、と思わずにはいられない。 その一つがヘドロ・ショック。大量のヘドロが津波とともに被災地の沿岸に運ばれたことを耳にしたからだ。実際に見た訳でもな…

医者も医者だが患者も患者

こちらのお医者さんに読ませたい本、 それはミヒャエル・エンデの「モモ」。それくらい、こちらのお医者さんには、患者の話を最後まで聞かない人が多い。何せ、臨床を死ぬほどたくさんこなしているから、最後まで話を聞かなくてもたいてい患者の言いたいこと…

ところ変われば

何だかあっという間に時間が過ぎて行く 毎月十本ほど連載があるので、書くことはたくさん書いているのだけれど、 個人的なこともちょっと書いておかないと、瞬きした記憶さえ残らないかも。 さて、遊びに行く暇がなく、ストレスがたまっている相棒につきあっ…

空飛ぶ台所とカマキリの鎌

ある日、相棒が買い物から帰って来た。 新品の電化製品を持って…… 「ほら、まだあなたは回れるはずよ〜」とだましだまし使っていた換気扇がとうとううんともすんとも言わなくなったからだ。 新しく買ってきた換気扇は真っ赤。しかも工場用しかなかったとかで…

スウェーデン映画万歳!Metropia とSound of Noise

今、なぜか自分の中でスウェーデンブームで、しかもちょうどそのぴったりのタイミングで「スウェーデン映画祭」が始まった。 さすがに全部はあきらめたけれど、作品はなかなかの粒ぞろいだった。 なかでも予想をはるかに上回る面白さだったのが、 Metropia(…

海の向こうのかなしいお話

スウェーデン人の友達が海を越えて北京に遊びにきた。 その話で印象的だったものがいくつか。スウェーデン人は英語文化の波をひたすらかぶり続けているのだとか。 英語の喋れないおばあさんが、ひまつぶしに面白いテレビを観たくても、どれも英語チャンネル…

文化的多様性の日

親戚からもらった情報ですが、昨日は国連の提唱する「文化的多様性の日」だったのだとか。 https://app.e2ma.net/app/view:CampaignPublic/id:1407883.7072138234/rid:78dcd81b82093702236455c7abfd4501 国連がどういう組織で今何をやっているか、という議論…

まいさかのおはなし

私は今の家(といっても借家だが)に住むまで、基本的に半年から3年ごとに引っ越しを繰り返してきた。そのため、ここぞ故郷、という場所は私には存在しない。 今、両親が住んでいる舞阪という場所も、高校3年の一年間住んだだけ。なので、ここが生まれ故郷と…

「永生羊」「新少林寺」「将愛情進行到底」「刀見笑」のレビュー

「人文北京」をめざした第一回「北京国際映画季」も、いよいよ最終日のようですね。 でも、北京の今の情況の下で「国際映画祭」なんて、実質が伴わないに決まっています。実際今年は「鑑賞、評価」より「交易、交渉」が中心だったようです。以下は最近投稿し…

オモン・ラー・ショック

期待していたペレ―ヴィンの小説『宇宙飛行士 オモン・ラー』をとうとう読了。 ペレ―ヴィンは学生時代からファンでしたが、この作品にはノックアウトされました。 悲壮な決意を抱かされて宇宙に行った青年の末路とは? 彼がたどり着いた月の裏側とは? まさに…

駆け足下町めぐり

地震をめぐっていろいろと考えたこと、はまたこの次にして、今回はこの前の東京での新発見について。宿はいつも下町を選ぶのですが、今回は相棒もいたので、木場の安いツインを予約。時期が時期だったのと、場所が液状化現象の起きた所に近かったためか、ホ…

hand to hand

友人のアーティスト、井上玲さんの発案です。 「緊迫感」を出したかったけど、準備不足でごめんなさい。相棒は自己ブログがないので、一緒に撮りました。 北京が依存しているのは主に火力発電らしい。だから、 あんたは北京に住んでいるからそんなこと言える…

ご近所のあたたかさ

やっとのことでビザを入手して帰国! の翌日が何と大地震。 実家に被害はなく、滞在中の苦労も被災地区の方々のそれを思えば無いに等しいものですが、やはり冷や汗しきりでした。なぜなら、帰国は成田インで、しかも本来は大地震当日の飛行機で帰るつもりだ…

ビザ入手!

心配してくださった皆さま、お陰さまで 相棒の訪日ビザがやっと入手できました! これを申請するため、相棒と私は計4回、申請を行ってくれる機関の窓口(領事館とは別)に行きましたが、四回目の時、 「では、明日の朝9時半、領事館に書類を持って行く時にま…

人災ウィーク

「北京の胡同から」が更新されました。 http://www.shukousha.com/column/tada/beijing028.html自分の体験を交えると、余計な心配をかけてしまうのでは、と心配ですが、順調に回復に向かっていますので、ご安心ください。最近、仕事のスケジュールにせよ、こ…

ルールを介したぶらぶら歩き

ご報告が遅れましたが、ARTSCAPE のFOCUS欄が更新されました。http://artscape.jp/focus/1228717_1635.html水の入ったコップをちょっと傾けただけで、これも作品だ、「海と平行だ」と。しかもそれを、中国を撤退するか否かがアート界の一大焦点となるような…

またまた春節映画 馮小剛監督「非誠勿擾2」

春節が終わる前に、ふたたび駆け込みで春節映画のご紹介です。http://www.insightchina.jp/newscns/?p=13678 人生哲学を盛り込み過ぎ、セリフ重視なので意味を聞き取るのが大変、といった欠点もあるようですが、かつての馮小剛+王朔+葛優の組み合わせが好き…

姜文監督「譲子弾飛」について

春節ももうすぐ終わりですが、春節映画をめぐるレビューです。http://www.insightchina.jp/newscns/?p=12450周囲の意見を聞くと、春節映画の中では最も評判が良かった映画といえるようです。特に男性の間での人気が高かったもよう。 爆竹じゃありませんが、…

春節うさぎ

春節が明け、今日は五日目の「破五」。 ここちょっと少し収まっていた爆竹や花火がまた元気に炸裂しています。 元気、というか正直うるさいです。今朝も花火が目覚ましでした。 みなさん、そんなにストレスがたまってるんでしょうか。 ここ数年、春節に向け…

中軸路をめぐる思惑

春節明け早々に「大拆大遷(都市めった斬り)」の話をアップするのも何なので、先回の記事の答えになるものを先にアップします。「集広舎」のHPのコラムです。 http://www.shukousha.com/column/tada/beijing027.html ずっと書きたくて書きたくて仕方がなか…

北京ももうじきウサギ年

今年の冬は寒い。しかも、日中も零下というような「極寒」の期間が長いようだ。毎朝のように水回りに氷が張っている。しかも、水道が凍らないよう、晩は水が少しずつ滴るようにしておくのだが、ある日、下に洗面器を置き忘れたら、下に鍾乳石のように逆つら…

映画『趙氏孤児』について

ご紹介が遅れましたが、先回投稿した映画評です。http://www.insightchina.jp/newscns/?p=12208このサイトでははっきりとは書かなかったけれど、この映画、私は結末が納得できませんでした。血縁や肉親がいくら大事だといっても、自分が生まれるか生まれない…

面白公安ポスター

公益コマーシャルとか宣伝ポスターとかって、うるさいなあ、と思ってしまうことも多いふまじめ者の私。でもこういうのってやっぱり社会を映している鏡だなあ、と思う。最近見たのは、医者や警察などにお世話になった人がお礼に金品を渡すことを戒めるCM。3…