北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

胡同一号の七不思議 その2

今度は怪談ではなく、謎ときできる七不思議

不思議その3
我が家には腰高の窓があって、新聞などはその外側の窓台に置かれることが多い。でも、郵便箱は共用で敷地の入り口にあるので、一日外に出ないとどんな郵便が来ていても分からない。

だが、時々窓辺に座っていると、タッタッタという足音とともにどこからともなく突然封筒が窓辺に現れる。でも人の影はぜんぜん見えない。

なぜ?

不思議その4
先回も登場したトイレ。コンクリートの壁があるのだけれど、そこには「電気は大切に使いましょう」「節水をするのは皆の責任です」とかいった標語が書かれている。でも、文字はチョークでの殴り書き。最近はどんどん増えて行って、ほとんど見かけは落書き状態。

院でいつも黒板に標語や連絡事項を書いてくれているのはおじいさん。ではなぜ女子トイレに?


正体は院の中に住んでいる小さな女の子。

好奇心の強い面白い子で、会ったときにあいさつする程度の関係なのに、院で一番奥に住んでいる私のところに郵便物を届けてくれる。もちろん、頼んだことなんてないのに。
トイレの標語は、字の練習も兼ねているんだろうね。

でも、最初はびっくりした。だって、何か音がするな?と思ったら窓の下からそろそろそろっと封筒が現れるんだから。女の子は七歳くらいで窓枠より背が低いから、姿が見えない。でも、その後のタッタッタッという足音で、はっと何が起こったのか気付いた。

同じ院でも、その子の家から私の家って80メートル近くはあるから、ちょっとした郵便配達屋さん。きっと優しくて活発でまじめな子なんだろうな。

というわけで、
今回はほのぼの不思議話でした。