北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

2012-01-01から1年間の記事一覧

年末締めくくりの旅ー上海

今年は不思議なめぐり合わせで、中国のあちこちを駆け巡ることになりました。 そして締めくくりは、中国東南部へ。 途中の上海から、法事のための帰国を一週間はさんだので、結局のところ、12月の頭からず〜っと流浪の民と化しています。しかも、連載や翻訳…

シベリアからのカモメ

写真、やっとアップできました。 取材した地元のアーティストの強力な勧めで、 昆明の翠湖というところに行ってきた時のものです。秋から冬にかけて、昆明に毎年シベリアから飛んでくるカモメで、地元の人の呼び名を直訳すると、「シベリア赤くちばしカモメ…

愉快で楽しいおしゃべり列車

まだネットの上の情報も、読んでいて不安になる内容が多く、平和を愛する者としては、ここらへんで一つハトに関する話題でも書きたいところですが、あいにく最近お目にかかれたのはカモメさんだけ。でも、とってもかわいいカモメなので、ぜひ写真を、と思っ…

「伝統空間の再利用をめぐる議論」の後半

お陰さまで、貴州、雲南への「大半を寝台列車で過ごす」出張から戻ってきました。 そちらの報告は今度ゆっくり、ということにして、 まずは遅くなりましたが、前回「集広舎」のウェブサイトに投稿した原稿の後半部分がアップされたのでご報告します。http://…

一週間ぶりにこんにちは

ここずっとネットの調子がおかしく、メールボックスも検索サイトもうまく使えないことが増えていました。2、3日前に至っては、ネットにつなぐこと自体が難しくなり、どうなる事かと思いましたが、 なぜか昨日からだいぶ調子がようなり、やっとまた投稿が可能…

伝統建築と現代美術

ずっとこればかりやっていたわけではないのですが、結果的に2か月がかりになってしまった取材記事の前編がやっと掲載されました。 http://www.shukousha.com/column/tada/1806/ 古いものと新しいもののミックス度がかなり高いと思う北京ですが、 やはり大勢…

北京でもフェアトレード

中国のスーパーマーケットに行くと、 外国人ながらも、これでいいんだろうか?と思うことがある。 はみがき粉の棚はコルゲートを始めとする外国ブランドのものが大半。 チョコレートの棚もしかり。 これじゃあいかん、と思って、自分が比較的いいと思う国産…

舞台「影のようにつき従う」

しばらくはてなダイアリーが開けず、心底焦りました。 開けられてよかった!と、本来なら当たり前のことがこんなに喜べるのって、いいんだか悪いんだか……。先日、友人にチケットをプレゼントしてもらったお陰で、北京では珍しいことに、フランスの劇団による…

追悼 丸谷才一先生

丸谷才一先生の訃報を耳にし、かなりショックです。 その大きく、深く、先見性に満ちた業績について語ることは私の能力には余りますが、 個人的にも、私が翻訳業、ひいては物書きを続ける上で、一生影響を受けるであろう、強力なパワーをいただいた方でした…

井戸に落ちたカエルの矛盾

北京での暮らしは楽しいし、周りもいい人ばかりだが、もちろん、お国柄によって日本にはないストレスを感じることもある。例えば、北京で暮らしていると、ネットの閲覧が不自由とか、携帯電話が途中で切れちゃうとか、郵便物が届かないとか、そういうことが…

北京でジョルジュ・ブラック

本当はすごいことなのに、あまり宣伝がされていなくて、残念に思うことが北京ではよくある。実は会期が10月12日までなので、私の紹介も遅くなってしまったのだが、 現在北京の天安門の東側にある皇城芸術館で、ジョルジュ・ブラックの個展が開催中だ。この、…

北京でクヴァス

あまり知られてないかもしれないが、北京とロシアは地理的に近いだけではない。 母親がロシア人という、ドイツ人の友人が、北京の地下鉄を見て、モスクワとそっくりだと言っていた。中ソ蜜月時代の名残で、今でもロシア大使館だけは市の中心を囲む二環路内に…

動物王国とミックスジュース

私は動物王国にいた。その王国では、私はとても弱い生き物とみなされていたため、 王国で絶対的な力をもつ何者かから、「とにかくミックス・フルーツジュースを浴びるほど飲みなさい。フルーツジュースの海で泳ぐんだ」。と指示されていた。そうすれば、自然…

世界の宝物、リシャール・ガリアーノ

今晩は人生で最高の晩の一つだった。コンサートに行って、感動で涙が流れるなんて、生まれて初めて。演奏者の指から虹色の光が放たれているかのように、その音色は豊かで、艶やかで、微妙な色や表情や感情にあふれていた。相棒には悪いが、その素晴らしさは…

「9人の隣人たちの声」出版!

ご報告が遅れてしまいましたが、筆者も共訳に参加させていただいた本が、この9月に出版されました!中国の気鋭の作家9人の短編小説を一人一作ずつ選んだ、期待の作品集です。私は李修文の「夜中の銃声」を担当させていただきました。文学に国境はないとは思…

初盆出張旅行記 その9

さて、やっと何とか北京行きの帰りの列車に乗った私たち。 今回も寝台の切符は手に入らなかったので、二等座席で夜を明かさねばなりません。 でも、座れるだけいい方です。通路には「無座(座席なし)」切符を買わざるを得なかった人がたくさん立っていまし…

初盆出張旅行記 その8

そんなこんなで、おだやかな海旅は続き 今回はばっちり無料朝ごはんも食べ、(左上はマイカップ) 先回に負けぬほどいろいろな出会いがあった鑑真号での旅を終えました。しかし、旅自体は続きます。というか、これからが本格的な取材旅行です。 といってもこ…

初盆出張旅行記 その7

お、アップできました!「生日快楽!(お誕生日おめでとうございます)」 そう言いながら、乗務員さんたちが差し出してくれたのは……。 そう、鑑真号のロゴが入ったTシャツと、開けるとバースデーソングのメロディが鳴ってチカチカと光るカード! お、そうだ…

初盆出張旅行記 その6

さて、帰り(神戸→上海)の鑑真号に乗った私たち。 今度はもう「余裕」です。 前日、なるべく睡眠をとり、食べ過ぎに十分気をつけて乗船。 そのおかげか、はたまた海が穏やかだったせいか、帰りはほとんど船酔いはしませんでした。そんな、なかなか快適な船…

閑話タイム

昼間、しばらくミクシィが開けなくなるなどのアクセス障害があり、焦った。島問題が沸騰中だが、私のまわりはいたって冷静で、ラーメンなど投げられてはいないので、ご安心を!心の支えは北京の中国人の友人たち。表だって政治の話はしないけれど、そっとシ…

初盆出張旅行記 その5

先回、日本で唯一の観光と書きましたが、実は東京でもちょこっと遊んでました。 それは、築地市場のとなりの路地でサケの切り身を買ったり、 夜の新宿歌舞伎町に繰り出し、道端でかき氷を食べたりしたことです。でもそれはいいとして、 大阪で何を観たか。そ…

初盆出張旅行記 その4

さて、地面が動かないのはやっぱりありがたい、と思いながら、終点、神戸港で船を降りた私たち。さすが日中フェリーの船着き場。イミグレーションの職員さんはみな中国からの乗客に慣れていて、東京の空港でありがちな、アジア系外国人に対する冷たい態度は…

初盆出張旅行記 その3

鑑真号での船旅は、のんびりと続きました。昨今は日中の海の国境がやけどするくらいホットな話題。船内では船の位置に関するアナウンスは少なく、いったいどこで国境を越えたのかはわかりませんでしたが、いつも流行には乗り遅れまくりの私たちが、今回はへ…

初盆出張旅行記 その2

さて、多少の寝不足など乗り越えて、上海駅に降り立った私たち。 発展を続ける上海の街並みを横目に、まっすぐ向かったのは東大名路にあるフェリー乗り場。目標はなんと、鑑真号に乗ることです。以前、ブログにも書いたように、長年航行していた天津‐神戸間…

初盆出張旅行記 その一

長らくブログをお休みしてしまい、すみません。ほぼ8月いっぱい、出張、取材、帰省を兼ねて、日本と中国のあちこちを移動しておりました。というわけで、今日から数日、その道中をご紹介します。まず出発は北京駅。えっ。帰省なんだから日本に行くんじゃない…

腹踊りは民族のルーツ?

成都の人形劇フェスティバルで一時間並んで見た外モンゴルのパペットショー。 後半でこんなお人形たちのダンスが。 よーく見てみてください。写真だと分からないのですが、実はおさげがくねくね〜っと動きます。そう、実はこれ、 腹踊りなんです。ちょっと調…

「冥土めぐり」「楊梅洲」「我11」「一一」

まずはフェイスブックにも投稿した部分ですが、 I had a chance to read a short story of an author Maki Kashimada, which awarded Akutagawa Prize, one of most famous award for good literature in Japan recently. In my impression, one of it's the…

ダ・ヴィンチで藤井フミヤさんが推薦!

私のきわめて地味?な人生の中では、そうたびたびは起こらないびっくりです。これまでいろいろな方に支えられてきましたが、まさかこの方にまで支えていただけるとは!!なんと 8月号の雑誌『ダ・ヴィンチ』で、あの超有名ミュージシャンの藤井フミヤさんが…

燕京号休航!

まさか、とびっくりしました。実は、次回の帰国は船で、と心に決めていました。べつに空港の松葉杖チェックが怖いからではなく、船旅の面白さをもう一度味わったり、大阪で学生時代の友人に会ったりして、いろいろと気分を入れ替えたいと思ったからです。が…

無敵のつえ

実は今回の帰国は生まれて初めて「名古屋アウト」だったのだが、その時空港でとんでもなく細かなボディチェックをされた。検査官の女性に、残すはパンツの中だけってくらい、体の至るところを触られ、靴の中まで見られた。松葉杖も、当然二重チェック。それ…