北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

初盆出張旅行記 その7

お、アップできました!

「生日快楽!(お誕生日おめでとうございます)」
そう言いながら、乗務員さんたちが差し出してくれたのは……。


そう、鑑真号のロゴが入ったTシャツと、開けるとバースデーソングのメロディが鳴ってチカチカと光るカード!
お、そうだった。自分でも忘れかけていましたが、その日は私の誕生日だったのです。

今年の誕生日は、ケーキを食べるどころか、食事だってなるべく控えなきゃいけないし、へたすりゃ「入れる」どころか「出す」方に専念かも、と思っていた私は、それこそ大感激!

急いで着替えると、甲板に出て記念写真をパチリ。

ただのロゴ入りシャツとはいえ、これは非売品。すごくいい記念になります。
日本だと考えられないことですが、鑑真号では、いわゆるロゴとか、鑑真号の写真やイラストが入ったグッズというものが、まったく売られていないのです。

唯一の例外が、「鑑真号」という名のお酒。絵葉書さえ、売り物としては置いておらず、頼んだらフロントで一人一枚くれるくらいでした。

そんな商売っ気のなさがいかにも中国っぽくて、面白いのですが、
かといって顧客へのサービスに無関心というわけではなかったんですね。

祝ってもらった嬉しさのはずみで、私はその後、「鑑真号友の会」、正式名称は「新鑑真21世紀倶楽部」に入ってしまいました。4回往復で乗ると、片道1回分がタダになるという、お得な割引システムです。

でも、ということは、この船にあと4往復半、乗るんだろうか、私たち??
北京在住、実家静岡の人間には、何とも悩ましい誘惑なのでした……。