北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

2014-01-01から1年間の記事一覧

TAMにて王強さんの『俗人・俗画』展、開催中

昨日の午後、TAMで王強さんの個展を参観。 こちらが展示された作品の一部です。ガラス張りだけに、周囲のモダンなビル群と作品の雰囲気が何とも対照的なのが面白い。 それでカメラもつい暴走してしまい、、 おじさんが悠々とビルを眺めながら、足でメリーゴ…

メリーさんのクリスマスひつじ

サンタになったダックは見つからなかったけれど、 昨晩、ちょっぴり気の抜けた三里屯周辺を歩いたら、 メリーさんのクリスマスひつじがたくさんいた。 来年はひつじ年だから、新年の飾り兼用ということだろう。 コマーシャルすぎるクリスマスの祝い方は、議…

梁碩の新作と遼寧の家畜市場と『薄氷の殺人』

そうだ、今日はクリスマスイブだった、と昼になって気づいた。 感覚的にまだ1週間はあると思っていた私。なんでみんな「クリスマス、クリスマス」って騒いでいるんだろう、と思っていたんだが、ほんとうにクリスマスだったんだ。 実はまだ、締め切りに追われ…

中途半端な二等座席とバンザイ青年

先日、中国で上海ー北京間の夜行の二等座席に乗った。 「二等座席」なんて趣味の悪い言い方だが、かつて椅子の硬さが特徴だった「硬座」が以前ほど硬くなくなってしまい、 反対に「軟座」(いわばかつての一等座席)の役割は和諧号などの超特急列車にとって…

正直者のおばさん

実は私はあんまりスーパーに行く方ではない。 野菜は十字花蔬菜社の友人たちが作っている有機野菜を毎週届けてもらっているし、すぐ近くの胡同にも大きな野菜市場が2つある。肉はそもそもあんまり頻繁に買わない。だが先日、どうしても必要な調味料があった…

時事ネタがらみ その2

次は、高倉健の逝去について。 高倉健は80年代に大陸で一世を風靡した俳優だから、 これは中国ではかなり大きなニュースだ。だから、異例にも外交部の人が哀悼の辞を述べたり、 写真が週刊新聞『南方週末』の一面をデカデカと飾ったりした。CCTVのニュー…

時事ネタがらみその1

来年1月に念願の自著が出ることになったので、あれこれと忙しい。 でも、そんな時にかぎって、いろいろと気になるニュースが。まずは、ベルリンの壁崩壊25周年。高校生の頃に天安門事件やベルリンの壁崩壊のニュースを目にしてから、 卒業して、浪人して、大…

何だか可笑しな裏世界の夢

奇想天外な夢ってあるものだ。子供の頃、大分の母の実家に、山口百恵と三浦友和が山を超えてスーパーマンのように飛んでくる夢を見たことがある。おとといの晩は、相棒が丸太くらいの大きさの玉を、丸太の形に磨き上げた夢をみた。 でも、それは自分用ではな…

竹田信平『α崩壊』の開く地平

この夏に手にしてからずっと気になっていた本を、一気に読了。アメリカ大陸に住む広島、長崎での原爆体験者の証言にせまり、 その強烈な記憶をアートを通じて追体験するという、 たいていの人は諦めてしまうような、ほぼ不可能にみえる試み。そんな重たくて…

大連の旅と映画「親愛的」、そして魅惑的な夜市

最近、三本の原稿が活字になりました。 まずは旅行記。 これまで、ハルビン、瀋陽の順で東北地方の歴史ある街並みの現状を綴りましたが、 最終回は大連です。 http://www.shukousha.com/column/tada/3663/東北地方の歴史は、シンプルなようで、ほんとうに奥…

丸太三兄弟の初お座り式

先日、無謀にも家庭用のこぎりで切った、楡の木の丸太がとうとう腰かけとして完成。 名付けて丸太三兄弟。 今日は初お座り式。 記念写真は私のミニデジカメでぱぱっと撮っておしまいにしようと思っていたら、いざアップというところで、 相棒が出てきて 「ち…

ダックのハロウィン

出張やら何やらでバタバタしていたら、あっという間にもう月末。 やっぱりグーグルはアメリカンだ。 検索しようとすると、「ハロウィーンを忘れるな」と主張してきたので、 先日フェイスブックにアップした写真を載せて、お茶を濁すことにします。 こちらは…

王麻子のハサミ

先日、360年の歴史をもつハサミの老舗、「王麻子」で念願の布切りばさみを買った。 王麻子は、中国では南の張小泉と並んで、北のはさみ業界を代表するブランド。 以前買った紙切りバサミも、形が園芸ばさみのように丸っこくてかわいい。解放以前から、アフタ…

瀋陽での旅をめぐる記事&金融史のお勉強

この夏の瀋陽旅行をめぐる記事がアップされました。 http://www.shukousha.com/column/tada/3551/ 旧満州国の都市をめぐるというのは、長年、積み残していた課題の一つ。 まだまだ入り口に立っただけですが、これからもあれこれ調べてみたいです。瀋陽はいろ…

今日は丸太を切った。

木こりになった気分で。 芯まで、すっかり乾いた丸太を。以前住んでいた四合院の敷地で、顔見知りの隣人が太い楡の木を業者に切らせていた。 せっかく、夏などいい感じに木陰を作っていたのに惜しいな、と思ったので、 「なぜ切っちゃうの?」 と聞くと、 「…

『西遊記 はじまりのはじまり』と、その他あれこれ

「インサイトチャイナ」の10月号に、 この秋、日本で公開される映画『西遊記 はじまりのはじまり』のレビューを書いた。 http://www.insightchina.jp/newscns/emag/ タイムリー?にも今回は香港映画。映画界においても大陸の資本が大きな力を持っている昨今…

かばん城と黄暁明

先日、取材で河北省の白溝に出かけた時のこと。 巨大なかばん城(かばん卸売市場)があることで知られるこの土地で、ちょっと意外だったのは、 街中に「彼」がいたこと。ちょっと前に人気が出始めたイケメン俳優、黄暁明。 今はかばん城のイメージキャラクタ…

ハルビンの街並みと幌子

この夏訪れたハルビンは、 眠りかけていたロシア熱を呼び覚まされたり、 ボロボロだけれど何かいろんな物語を秘めていそうな、趣きたっぷりの建物に魅せられたり、 さらにはその今後の運命に気をもんだりと、 いろんな気持ちや考えが次から次へと押し寄せて…

改造バイク、絶好調

胡同の散策を含め、北京での移動の大部分は、いつも相棒に改造してもらったバイクが頼みなのですが、 先日、そのニューバージョンが完成。 (写真/張全) 昨日、胡同会の活動で訪れた張家口でも大活躍しました。松葉づえを使って街を移動していると、自分に対…

9日に講演、テーマは大雑院

もっと早くお知らせすべきでしたが、実は今、 2014北京ONE国際パフォーマンスウィーク(北京ONE国际表演艺术周) が開催中です。パフォーマンスアートが中心のアート・イベントで、今年は胡同が主なテーマ。 固定したメイン会場を設けず、作品の必要に応じて…

韓寒の『後会無期』

取り急ぎご報告です。映画を選ぶ段階で選考から落ちたと思っていた韓寒の『後会無期』ですが、 その後書いてもOKとなったため、以下の号で掲載させていただきました(閲覧有料ですみません)。http://www.insightchina.jp/newscns/emag/201409/韓寒は職が国…

やっとこさ帰巣

さて、いよいよ旅も終りに。移動は焦らず、がモットー(宿命?)なので大連、北京間の列車は全行程12時間のゆっくり型。こんどは寝台がとれたので「ラッキー!」と喜んだはいいものの とれたのは「上舗」。つまり松葉づえ組にはつらい三段ベットの上段。ネッ…

青い鳥ならぬ青い魚in大連

今回の旅はハルビンを離れた途端、全般的に食事運がおもわしくない。 おとといも一日一食だったけれど、きのうもまた昼ご飯を抜いたままで大連に到着。 深夜に食べた餃子がそこそこおいしかったのが大きな救い。 めったに飲まないファンタが、五臓六腑にしみ…

遼寧省に到着

またまたこりずに強行軍。 夕方、チチハル駅を出発。 チチハルについてはまだ少し書きたいことがあるが、今度また改めて。列車の硬座(二等座席)で一晩眠れぬ夜を明かし、早朝の4時すぎに遼寧省の溝幇子に到着。さらに列車とタクシーを乗り継ぎ、目的の取材…

東北旅行、続行中。

ネットが不便な環境にいるので、ここ数日、Gメールが見られません。ご迷惑おかけしている方がいらっしゃったら、たいへん申し訳ありません。遅くとも9月4日までにはふたたび見られるもようです。ハルビンを巡った後、現在はチチハルに滞在中。 ハルビン訪問…

リス・ゴジラ出現

一時帰国を終え、北京に戻りました。今回は東京での滞在が短めだったため、いつもながらとはいえ、会いたくても会えなかった方が何人もいて残念でした。 またいつかぜひお会いしたいです。 北京行きの便に乗ろうとした時、空港でビザ(代わりの居留許可)の…

新聞スタンド消失をめぐる妄想

今は日本に一時帰国中なので実際に目にはしていないのだが、日経のニュースによると、現在北京の新聞スタンドが次々と壊されていて、長安街沿いでは50軒以上が消えたのだという。関係あるのかどうか分からないが、先回と今回の帰国直前のお話。昨年末に帰国…

アートと空間の関係、および「ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪」

またまた有料で恐縮ですが、インサイト・チャイナ電子雑誌版の8月号でおすすめの映画を紹介させていただきました。 今回は娯楽大作で、ちょうど今日から日本でも公開される、ツイ・ハークの『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪(原題:「狄仁傑之神都竜…

『京城81号』とシソジュースと血の池

我が家の近くに幽霊屋敷として有名な建物がある。 昨晩、その屋敷を舞台にしたホラー映画、『京城81号』を観てきた。 正直、中国のホラーをちゃんと映画館で観るのは初めて。一番近くの映画館では、チケットが売り切れて見られなかったのに、なぜか私たちが…

ファンダイク展をめぐる朝日の記事と艾未未

今日の朝日新聞の夕刊の「海外通信」欄に、拙稿が掲載された。 http://digital.asahi.com/articles/DA3S11274712.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11274712まぬけに聞こえるのを承知で、正直に取材した当日の事情を書くと、 以下のようになる。ファン…