北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

何だか可笑しな裏世界の夢

奇想天外な夢ってあるものだ。

子供の頃、大分の母の実家に、山口百恵と三浦友和が山を超えてスーパーマンのように飛んでくる夢を見たことがある。

おとといの晩は、相棒が丸太くらいの大きさの玉を、丸太の形に磨き上げた夢をみた。
でも、それは自分用ではなく、
マフィアに献上するためのものらしかった。

夢の中で、私はどこかの学校の体育館で行われている、その「受け渡し式」に参加していた。

その「式」では、中国の国歌が流れているんだけど、
驚いたことに、やがてその国歌に合わせて、みんなが日本のラジオ体操を始める。

わけが分からないながらも、なぜか同調圧力を感じた私は、
見よう見まねで真似してみるが、うまくいくわけがない。

ふと気づくと、体育館の片側にあるステージに、男たちが玉の丸太を運び上げようとしていた。
大事に扱われてはいるんだけど、やっぱり玉の丸太はヤバいものなのか、
なんだかみんなコソコソしていて、ステージの幕に隠すように持ち上げてるし、
体操している人たちも、丸太に気づかないふりをしている。

いつの間にかステージに登り、「どうすんだこれ?」と思いながらその丸太を見ていた私は、
あやうく転び落ちそうになったところで、目が覚めた。

どうも赤珊瑚密漁事件と、日中首脳会談をめぐるニュースが気になっていたせいでみた夢のような気がしてしかたがない。

一見、支離滅裂で荒唐無稽。
だけど、よく吟味してみると、あるまとまったイメージと背中合わせの気もする。
ってことは、じつは夢って思っている以上に正直なのかも、と思ったAPECウィークの朝だった。