北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

2013-01-01から1年間の記事一覧

注意深さがあだに

現在、仕事で東京滞在中。 東京はまだまだ分からないことばかり。渋谷では、犬を連れた欧米人のおじさんが、迷っていた私たちの道案内をしてくれた。ところで、今回も宿は南千住。中国に長く住んだ者が帰国中、気をつけなければならないこと。 それは信号無…

どうでもよさげでそうでもなかった

先回の続きになってしまうけど、 食べ物固有の性質をあれこれ論じる人が多い中で、 わが相棒はほとんどそういうことを言わないタイプ。 「どうでもよさげ」っていうのは、物足りなくもあったが、それ以上に楽でもあった。みかんは「上火(のぼせる)」ってい…

北京におけるみかんの地位の問題

こういう時だけは流行に乗って(?)ここしばらく風邪気味。昨日あたりからやっと風邪頭のモヤモヤが薄れてきたと思ったら、「締め切り間近」の現実が。なので、今日はつぶやき調。久々に近所の子が遊びに来た。忙しいから構ってやれないのだが、家に親がい…

第一回北京国際写真ビエンナーレと第14回Open国際パフォーマンス芸術祭

北京初の国際写真ビエンナーレの紹介です。予想をいい意味で裏切られました。 まだ「国際」の名は泣いてる感じですが、今後充実することを願っています。 http://www.shukousha.com/column/tada/2620/ちなみに、フェイスブックではすでにシェアしていますが…

花の五目炒め

いつも報告のタイミングを逃してしまうのですが、、 「まいにち中国語の12月号」が発売されたもよう http://www.magastore.jp/product/15523四月からは「みどりの中国」がテーマで、 相棒が口絵の写真を担当し、私が巻末のエッセイを担当しています。今回は…

新聞を読む国、ニッポン

先日、北京の「新京報」に、 「新聞を大いに読む国はいかに鍛えられたか」というオストロフスキーの代表作をもじったタイトルの記事が掲載されていた。 http://www.bjnews.com.cn/world/2013/11/17/293030.html現在、日本でも新聞離れは深刻なので、日本人の…

スプラッター&ミステリーの晩

昨晩、缶詰続きでストレスがたまっていたので、深夜すぎに丸一匹の三黄鶏をさばいてしまった。三黄鶏は、わりと信頼している有機食品スーパーで買ったもの。 放し飼いの鶏のはずだから、鶏としての人生(?)も、一応ある程度は謳歌できたはず、と信じて肉切…

第八回宋荘文化芸術祭

閉幕前に早くまとめなくては!と思っていた第八回宋荘文化芸術祭をめぐる文章がやっとまとまりました。http://www.shukousha.com/column/tada/2589/残念ながら、写真に出てくる屋外の作品の多くは、今はもう撤去されていますが、会期終了まではまだ2日強あり…

故宮の北門で思ったこと

北京、大丈夫?というメールを、最近日本から何本かもらいました。 そりゃ、中国の政治的シンボルである天安門に車が突っ込み、山西省の党のシンボル的場所でも爆弾が弾けたわけなので、いったいどうなっているの?という方がいるのもわかるのですが、郵便物…

世界の美術館データベース 中国

師走はまだなのに、仕事ですでに全力疾走中。 あんたはもともとのんびりすぎるんだから、それぐらいでちょうど良い と言われたら立つ瀬がありませんが。先日、依頼を受け、制作をお手伝いした美術関係のサイトが完成したようです。 産みの苦しみなのでしょう…

鐘鼓楼周辺の今

今年の頭、何度かこのブログでも言及した鐘鼓楼周辺の破壊的プロジェクト。 http://d.hatena.ne.jp/lecok/20130117 http://d.hatena.ne.jp/lecok/20130121/1358800092 その後、市民の反対でその歩みは止まったか、少なくとも、かなり減速したもよう。 10月の…

「謎」が守った聖なる文字

人にも文化財にも「運」は大事。北京の小敦煌とも呼ばれる法海寺。 その貴重な明代の壁画を最終的に守ったのは堂内の闇だ、という説がありますが、一方のこちらは「謎」が文化財を守った例。 私も偶然知った、岩の上の神秘的な文字にまつわるお話をまとめて…

杭州にも戻って来た先生たち〜まだまだ続く民国期ブーム

(写真は北京での展覧会の時のもの。撮影/張全)深圳でスタートし、昨年の秋には北京でも大反響を呼び、続いて南京でも開かれた「先生回来Come Back Teacher」展。民国期の教育界の偉人たちの足跡を追いつつ、民国期の教科書やグラフィックなどを並べた展覧…

ラバーダック、頤和園にあらわる

数日前に目玉焼き状態になったものの、その後復活した頤和園のラバー・ダック。 (最後の一枚以外、張全撮影)ロッテルダムを拠点に活躍するアーティスト、フローレンティンジン・ホフマン氏の作品ですが、香港にもかつて出現したとか、今大阪にもいるとか、…

良いことを言ってくれたとは思うけれど

集広舎コラムを更新しました。 http://www.shukousha.com/column/tada/2502/ 「都市の発展の核である歴史的文脈が引き裂かれた」ことに対する反省の言葉。 10年早く気づいて欲しかったですし、背後に政治の力学が感じられますが、やはりこういうことを政治家…

ふじさんおめでとう

今日、おもしろお菓子のおすそ分けをいただきました。 遅ればせながら、世界遺産への仲間入り、おめでとう! たくましい商魂にも乾杯!、 ふじさんを一口で食べちゃうなんて怖れ多いけど、 思えば、北京ではおしゃべりすることは「侃大山」。直訳すれば、 「…

マナーのカテゴリー

小学生の頃、家にアメリカ人の1、2歳年上の友人を呼んで、日本風の家庭料理を一緒に食べたことがあった。確か、ご飯だったと思う。お茶碗を手に取り、直接口に近づけて食べると、友人はとってもびっくりとして、「何て食べ方をするの!!」と声を上げ、いか…

秋の夜のカフェで

先日、あるカフェ兼バーを訪れた時のこと。 メニューを見ると、値段が軒並み高いのでびびった。でも、コーヒーを頼むと、東北出身というお店のおばさんが 「インスタント?それともドリップ?」 と聞いて来たのでびっくり。庶民の客には庶民向けの商売をする…

今日の夕食

近所の子供リャンリャン(仮名)との共作。 「さあ、何作ろうか?」 お腹が空いている私と、食いしん坊のリャンリャン、食べたいものはどんどんと出てくる。 「タンフール―(さんざし飴)」 「お、さすが北京育ち。好きなの?」 「大好き!」 「それじゃあ私…

50年後の帰還

「自分の家」に戻ることに、50年の歳月と情熱を費やした方のお話をうかがう機会がありました。http://www.shukousha.com/column/tada/2466/70代半ばにして、21日間の座りこみ。なみの胆力じゃありません。 もちろん、組織したCHP、会場を提供した方も、も…

バーチャル月見

今年も、中秋節がやってきた。 でも曇り空なんで、月が見えず、残念。というわけで、兎児爺(兎じいさん)とバーチャル月見。 その昔、北京の民家ではこの日、庭に祭壇を置き、兎じいさんや月餅などのお供え物を並べたらしい。月の神様は女性のための存在だ…

天気予報のお宿

「天気予報は中国で一番、本当の事を言おうとしているテレビ番組」という天気予報ファンの相棒の影響で、私も天気予報はちょっと気になる存在。といっても、本当の事を言うのはやっぱり難しいのか、今日の天気予報も外れ気味。何はともあれ、今回、遊び&学…

北京のこの夏のパフォーマンスより

一つの部屋をいろんな作家が粘土のようにこねくり回すパフォーマンス。 出勤族でもないのに、同じ場所、同じ格好で1時間ごとにタイムカードを1年間打ち続けるパフォーマンス。 裸で夜の街を走ったり、犬の糞で文字を書いたり、洗面所に「交流」させたりする…

病院で井戸端会議

北京では一般の人はみな、ちょっとした治療でも大病院に行く。大げさなのではなく、個人病院というものがほとんどなく、あっても異常に診察代が高いか、会社の医療保険がきかないからだ。都心部以外では黒診所と呼ばれる、不法で怪しい私設診療所があったり…

大事なのは方向

ショックだった。世界を股にかけて創作活動をしていた知人のアーティスト、というか、仕事関連でインタビューをしたことがあるだけの私などが知人と呼ぶなんておこがましいほどの大家、中国現代アートの草創期を築いたことで知られる著名作家が、総額8000万…

日曜床屋の修正主義

実は、ずっと自分で髪を切ってみたいと思っていた。相棒のも自分のも。そんでもって、とうとうある日、自分の髪を自分で切ってみようとしたが、やっぱり後ろの髪は不安。人間、見かけより中身とはいえ、イメージは大事。そう疎かにはできない。そこで、冗談…

映画「エリシウム」とブラジル映画祭開幕

絶賛上映中ときいたので、「パシフィック・リム」を観に行こうとしたら、すでに上映終了。気になる作品は封切りとともに見なければ!との後悔から、昨晩封切りになった、映画「エリシウム」を見てきた。中国タイトルは「極楽空間」。この「極楽」という語彙…

「在中日本人108人のそれでも私たちが中国に住む理由」とアメリカの記憶

以前ご紹介した、中国に住む日本人の声を集めた本、 「在中日本人108人のそれでも私たちが中国に住む理由」 が8月末、いよいよ発売されたようです。8月30日に行われた出版熱烈歓迎会には、北京の編集チームや執筆者、そして毛丹青さん、泉京鹿さん、さらには…

元気をもらったインタビュー 蓬蒿劇場 梁丹丹さんの活躍

あまりの仕事の集中ぶりのため、更新が遅れていて申し訳ありません。たまに、インタビューの相手から、とてつもないエネルギーをいただくことがあります。北京の演劇関係者なら知らぬ者はいない蓬蒿劇場。巨大なプレッシャーの下でその劇場を支えている梁丹…

新刊書「それでも私たちが 中国に住む理由」予約開始

筆者も寄稿させていただいた本が、8月30日に発売されることになりました。 電子書籍だと聞いていましたが、紙の本も先行して出ることになったようです。まだ筆者も手にとってはいませんが、すでにアマゾンで予約開始。 筆者のよく利用する「丸善&ジュンク堂…