北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

どうでもよさげでそうでもなかった

先回の続きになってしまうけど、
食べ物固有の性質をあれこれ論じる人が多い中で、
わが相棒はほとんどそういうことを言わないタイプ。
「どうでもよさげ」っていうのは、物足りなくもあったが、それ以上に楽でもあった。

みかんは「上火(のぼせる)」っていう人が多いらしいよ、と言っても
「ふうん、そういうもんかね〜」という反応で、
確認できるでもなく、否定されるでもなく。

まあ、あれはダメこれもダメ、と言われて選択が減るよりいいなあ、と思っていたある日、
蒸したさつまいも(中国語で白薯)を食べた後、
みかんを食べようとしたら、
突然奇襲攻撃が。

「それはいかん」

とのこと。お腹の中でみかんとさつまいもがお腹を痛くする物質に変わってしまうらしい。いわゆる、食べ合わせが悪いってことなんだろう。相棒のような漢方にあまり興味のない人間が言うのだから、いわゆる「常識」らしい。

とはいっても、私はまったく知らなかったので、驚いた。秋から冬にかけてなど、知らぬ間に一緒に食べていたことも多いかもしれない。

気になって、日本のサイトを見ても、ほとんど出てこない。むしろ、「さつまいものみかん煮」を貧血予防に良いとかいって、ほめていたりする。
むむむ……。所変われば常識も変わる、ってことなのか、普段食べているものの差からの体質の違いなのか。
食べ物の謎は深い。