北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

伝統建築と現代美術

ずっとこればかりやっていたわけではないのですが、結果的に2か月がかりになってしまった取材記事の前編がやっと掲載されました。 http://www.shukousha.com/column/tada/1806/ 古いものと新しいもののミックス度がかなり高いと思う北京ですが、 やはり大勢…

北京でもフェアトレード

中国のスーパーマーケットに行くと、 外国人ながらも、これでいいんだろうか?と思うことがある。 はみがき粉の棚はコルゲートを始めとする外国ブランドのものが大半。 チョコレートの棚もしかり。 これじゃあいかん、と思って、自分が比較的いいと思う国産…

舞台「影のようにつき従う」

しばらくはてなダイアリーが開けず、心底焦りました。 開けられてよかった!と、本来なら当たり前のことがこんなに喜べるのって、いいんだか悪いんだか……。先日、友人にチケットをプレゼントしてもらったお陰で、北京では珍しいことに、フランスの劇団による…

追悼 丸谷才一先生

丸谷才一先生の訃報を耳にし、かなりショックです。 その大きく、深く、先見性に満ちた業績について語ることは私の能力には余りますが、 個人的にも、私が翻訳業、ひいては物書きを続ける上で、一生影響を受けるであろう、強力なパワーをいただいた方でした…

井戸に落ちたカエルの矛盾

北京での暮らしは楽しいし、周りもいい人ばかりだが、もちろん、お国柄によって日本にはないストレスを感じることもある。例えば、北京で暮らしていると、ネットの閲覧が不自由とか、携帯電話が途中で切れちゃうとか、郵便物が届かないとか、そういうことが…

北京でジョルジュ・ブラック

本当はすごいことなのに、あまり宣伝がされていなくて、残念に思うことが北京ではよくある。実は会期が10月12日までなので、私の紹介も遅くなってしまったのだが、 現在北京の天安門の東側にある皇城芸術館で、ジョルジュ・ブラックの個展が開催中だ。この、…

北京でクヴァス

あまり知られてないかもしれないが、北京とロシアは地理的に近いだけではない。 母親がロシア人という、ドイツ人の友人が、北京の地下鉄を見て、モスクワとそっくりだと言っていた。中ソ蜜月時代の名残で、今でもロシア大使館だけは市の中心を囲む二環路内に…

動物王国とミックスジュース

私は動物王国にいた。その王国では、私はとても弱い生き物とみなされていたため、 王国で絶対的な力をもつ何者かから、「とにかくミックス・フルーツジュースを浴びるほど飲みなさい。フルーツジュースの海で泳ぐんだ」。と指示されていた。そうすれば、自然…

世界の宝物、リシャール・ガリアーノ

今晩は人生で最高の晩の一つだった。コンサートに行って、感動で涙が流れるなんて、生まれて初めて。演奏者の指から虹色の光が放たれているかのように、その音色は豊かで、艶やかで、微妙な色や表情や感情にあふれていた。相棒には悪いが、その素晴らしさは…