北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

2015-01-01から1年間の記事一覧

空気が良くなり、缶詰も終わり、日常が戻ってきた。先日、日本で中国人観光客に人気の電化製品店を テーマパーク的に参観し、その規模に改めて圧倒された。 でも、その時ふと、 こういった製品が普及し、日常的に使われる事で、結局のところ 電気の総消費量…

スライムな日々

ここずっと仕事のせいで、半徹夜続き。 ここ2日はベッドに入る暇もなかったので、 パソコンに顔を突っ込んで居眠りをした後遺症で、 歯が食い込んだ所に口内炎ができてしまった。3、4日前から空気が悪い日が続いているので、 外に出たいという誘惑がまった…

長らく更新を怠ってしまい、すみません。 1か月にわたる長旅から戻ってきました。写真は大阪での最後の1日。 重い荷物を運んでくれた相棒へのねぎらいを兼ねて、最後の半日はヨドバシ三昧。 でも、ほぼウィンドーショッピング。さすが商魂の街。看板もポイン…

「誰にも分かりやすく」は難しい

前回の更新からずいぶん間が空いてしまってすみません。 中国在住者が今、これを言うとちょっぴりブラックに聞こえるかもしれませんが、 今のところ、何事もなくのほほんと生きています。じつはわけあって少し前、ちょっくら九州に行っていました。 つもるお…

フリーランスライターのふるまいよしこさんが執筆されているメルマガ § 中 国 万 華 鏡 § 之 ぶんぶくちゃいな で、拙著『老北京の胡同 開発と喪失、ささやかな抵抗の記録』をご紹介いただきました。 http://yakan-hiko.com/furumai.html たいへんな中国通で…

まさに「待っていました」というべき、すばらしい特集です。 http://www.aij.or.jp/jpn/touron/top.html拙文も注で引用されていて、ありがたいです。四合院、とくに大雑院の改修に関わるさい、既成のイメージに囚われない、外国人ならではのメリットは大きい…

第二回北京国際写真ビエンナーレ

いつも後追いなので、たまには予告を。 今日の朝日新聞の夕刊(関西地区を除く)の『海外通信』で、現在北京の中央美術学院美術館で開催中の「第二回北京国際写真ビエンナーレ」を紹介しました。展示は11月29日までです。この秋の北京の芸術祭の中では、ピカ…

昨日の続き

北京国際写真ビエンナーレに関する記事、 ネット版に掲載されたようです。 http://digital.asahi.com/articles/DA3S12039972.html?rm=150 十年前の地味なアート空間ならともかく、今の北京の公立美術館で留置場やら国境紛争やらに関連する内容が展示できたと…

犬猫日和

動物運のいい日ってあるもの。 先日、胡同会の仲間や相棒と胡同を巡っていたら、 インパクトのある犬やら猫やらに何度も出会った。 写真はそのほんの一部。猫は民家の屋根を駆け廻り、犬は路傍の車のタイヤで縄張りを強化する。 あくせく仕事や旅行や買い物…

遅れても嬉しい案内状

今朝、8時ごろのこと。 ドアをトントンと叩く音がした。 「家にいるかい?」 と言う声はどこか聴きなれたものなので、 夫が慌ててドアを開けに行くと、 隣人のおじさんが立っていた。こう書くと、何だ、と思うかもしれないが、 この隣人というのは、今の家の…

外国人との共生の大切さを感じる二冊

日本に一時帰国する時の大きな楽しみの一つは、新しい本との出会い。 先回の帰国中でも貴重な出会いがたくさんあったが、その中で、以下の2冊は奇しくも似通ったテーマと傾向で書かれていて、興味を覚えた。一つは中国の文化に造詣が深いライター兼翻訳家の…

怒れるおばちゃんたち

ちょっと前のある日に起ったこと。最初に断っておくと、さすがの北京でも、毎日こんなことばかりが起こっているわけではなく、 たまたまこの日にハプニングが集中しただけだ。その日の朝、私はまず郵便局に郵便物を出しに行った。 最近は、郵便局で手紙を出…

もろもろ事情があり、更新が遅くなってしまってすみません。荒削りながら、梁啓超、梁思成父子の故居について、続きを書いてみました。 http://www.shukousha.com/column/tada/4337/梁思成と日本とのつながり、とりわけ彼が抱いたであろう日本の文化財への思…

びっくり大サービス

どこの食品売り場かは言わないけれど、 昨日某スーパーのお肉売り場に行った時のこと。最近は北京でも、わりと安心できる肉が買える場所が増えていて、ここもその一つ。だから、ふだんはあまり買わない肉を、ちょっと買ってみようと思い立つ。 でも残念なが…

最近の投稿

直接読めない記事ばかりで申し訳ありませんが、備忘録も兼ねて、最近書いた記事を整理してみます。・美術手帖9月号の「World News」欄に 「艾未未が北京で4個展開催 変わらぬ社会へのまなざし」というタイトルの拙稿が掲載されました。 http://www.bijutsu.c…

アムール川の夕陽

ハバロフスク滞在の最終日に見た夕陽。 前に広がるのはかつてチェーホフも惚れ込んだというアムール川。 最近の極東の動きを追っていると、 どうしてもどこか予兆的に見える風景です。景色は優美ですが、実際はこの時、私は蚊の群れに追われていました。 三…

本岡典子さんの書評

拙著『老北京の胡同』の書評、4月に時事通信経由でも配信され、あちこちの地方紙に掲載されたとの貴重な情報をいただきました。力作『流転の子 最後の皇女・愛新覚羅嫮生』(中央公論新社)で知られる歴史ノンフィクション作家の本岡典子さんが、ご自身の体…

閲兵ブルーの北京とハバロフスクの風景

先日、北京に戻ってきました。今日は抗日+反ファシズム戦争勝利70周年の軍事パレード。 このイベントのもつ複雑な意味はさておき、 厳しい大気の管理がもたらしてくれた閲兵ブルーは衣服やシーツの洗濯には最適、 というわけで、昨日と今日は洗濯に励みまし…

ハバロフスク滞在中

ネット環境が不安定だったので、長らく音沙汰なしですみません。 ここ十日余り、ハバロフスクに滞在中。足に無理はかけられないし、仕事もあるので、あれこれ欲張らず、新しいことは一日一つ。 今日は宿の前を走るバスで終点まで行ってみた。 そのバスがけっ…

晶文社のホームページの「スクラップ」が更新されました。 http://s-scrap.com/category/tadaasami近年、見る影もなくなってしまった粉房琉璃街。 でも、かつては北京で大好きな胡同ベスト3に入っていました。 だから、この写真を見ると涙が出そうになるの…

北京の鼓楼近くで平田オリザさんのアンドロイド版『変身』を鑑賞。 待ちに待っていた公演で、その分不安もあったものの、 期待を裏切らない、とはまさにこのこと。人間ってなんだろう、心って何だろうなど、思考の空間がさまざまに広がる、刺激的な舞台でし…

人民網の「在中日本人の記録番組 中国と共に生きる」というコーナーで、岩崎元地さんが私たちと胡同との関わりを取材してくださいました。 http://j.people.com.cn/n/2015/0722/c94473-8924152.html胡同会が動画で紹介されるのは初めてかと思います。 会員の…

二刷における訂正

実はもうだいぶ前になるのですが、拙著『老北京の胡同』の二刷を出すことができました。 二刷を出す前に、もう一度丁寧に読んで見たところ、 訂正すべき点があることに気付きました。 二刷にはすでに訂正が入っていますが、 初版本を買ってくださった方には…

さぼりがちの掲載記事のご報告ですが、現在店頭にあると思われるNHKラジオ『まいにち中国語』の7月号の巻末エッセイで、西逓と並ぶ世界遺産の村、宏村について書きました。(すみません。試し読みでは相棒の撮った口絵しか見られません) https://www.nhk-bo…

相棒張全の個展、七夕イベントのため一時期縮小されていましたが、また元の規模に復活したそうです。会期も8月16日までに延期されました。

ご興味がある方はぜひご来場ください。また、お時間があれば、メッセージブックにお名前や簡単な感想、メッセージなどを記していただければ。ありがたいです。『北京游走』張全撮影展 5月22日〜8月16日 場所:Sake MANZO 朝陽区団結湖北四条甲8号 (営業時間…

ただの壁だといえばそれまでだけど

ご報告が遅れてしまいましたが、晶文社の連載が更新されていました。好景胡同の壁自分が人生の壁にぶち当たりまくってきたせいか、 または北京は「壁」と縁が深い街だからか、 味わい深い古い壁を見つけると、つい見入ってしまいます。 落書きや張り紙、昔の…

朝日・海外通信に「旧市街の横丁と現代アート」

朝日新聞の「海外通信」欄に投稿した記事が、今日の夕刊に掲載されました。 http://digital.asahi.com/articles/DA3S11824106.html昔ながらの時間も受け継いでいるけれど、実は新しいもの好きでもある、胡同のもう一つの顔に触れてみました。実は、もっと時…

白タクドライバーの温情

ここ一週間ほど、山西省に取材旅行に行っていた。 山西省を訪れるのは9年ぶりで、いろいろと変化も感じたけれど、 変わっていないな、と思ったのは、 誠意をもって堅実に仕事をしている人に出会う確率の高さだ。特に印象的だったのは、最終日の一幕。 ある遺…

ラバーダック繁殖中

何だか忙しいのに手際と運が悪くて、情なくなる毎日。例えば、バナナを齧っていた時に歯の詰め物が取れたので「えー、バナナで?」と思いつつ翌朝病院に駆け込んだものの、歯科の受付で「朝6時から並ばなければ掛号(受付)ができない」と言われてげんなり。…

『艾未未展』いよいよ開幕

『艾未未展』がこの土曜に798の常青画廊と唐人芸術中心で始まった。 初日に行ったら、すごい賑わいぶりで、嬉しい反面、心配にもなった。今回の展覧会は、艾未未本人が自ら発案し、展覧会のためにわざわざ作品を造ったという意味で、艾未未にとっては中国で…