北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

犬猫日和

動物運のいい日ってあるもの。
先日、胡同会の仲間や相棒と胡同を巡っていたら、
インパクトのある犬やら猫やらに何度も出会った。
写真はそのほんの一部。

猫は民家の屋根を駆け廻り、犬は路傍の車のタイヤで縄張りを強化する。
あくせく仕事や旅行や買い物に出たりもしない。
もうちっと広い部屋に住めないかなあと、くどくど考えたりもしない。
他の街や国の生活ってどんなものだろう、と忙しく想像したりもしない。

与えられた場所で、文句言わず、おとなしく暮らすだけ。
そんな彼らを眺めていると、思う。
あれこれめまぐるしく変わる北京で、一番「主人然」としているのは、
実は彼らなのかもしれない、と。


「肖像画」的猫