北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

さぼりがちの掲載記事のご報告ですが、現在店頭にあると思われるNHKラジオ『まいにち中国語』の7月号の巻末エッセイで、西逓と並ぶ世界遺産の村、宏村について書きました。(すみません。試し読みでは相棒の撮った口絵しか見られません)
https://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=C5010101&webCode=09101072015

「世界文化遺産」化に関しては、日本では商業的要素が強くなりつつあるなど、あれこれ批判も出ているようで、私もそれは否定はしませんが、
中国ではやはりまだまだ一部の農村部の貧困の救済、または、観光資源として注目されることによる自然環境の破壊や、過度の文化財の改造を食い止める安全弁になっている面が強いと思います。
地方の中には、自分たちでがんばっているところもあるのでしょうが、やはり世界の注目を集めている、と意識するのは強い。
旅行客にとっては、参観チケットも「世界基準」になってしまうのが、辛いところですが……。

今後は分かりませんが、少なくとも近年の中国では観光開発があちこちで進み、世界文化遺産になろうとなるまいと、人気が出た地域にはいろんな資本が入っていったようです。資本が資本を呼んだ結果、観光開発の範囲がどんどんと広がり、文化遺産で有名だった場所なのに、周りの、ほんとうなら地元の人たちの憩いの場としてとっておくべきと思われる自然環境までとりこんで開発してしまったケースも目にしました。

もちろん、さまざまな誘惑に屈し、守られないケースも多いわけですが、どうせ放っておいても商業的要素が入り込むのであれば、最悪の結果が防げるよう、保護のための厳しい基準があったほうがいい。
これは今回、宏村を数年ぶりに巡った結果、相変わらず観光客は多いのに、文化財自体にそこまで大きな変化は起きていないことに気付き、ほっと胸をなでおろした後の感想です。

もう一つ、いつもながら有料記事で恐縮ですが、インサイトチャイナの7月号に、台湾映画『念念』のレビューを書きました。台湾映画が大陸の映画館で正式に上映されることは少ないので、貴重でした。映画『ブッダマウンテン』で、シルヴィア・チャンの存在感が印象に残った方にはぜひお勧めです。
http://www.insightchina.jp/newscns/emag/201507/

あれこれ書きたいことはたまっているのですが、今年前半からつづくバタバタがまだ収まっていないので、小出しにしかできず、すみません。