北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

スライムな日々

ここずっと仕事のせいで、半徹夜続き。
ここ2日はベッドに入る暇もなかったので、
パソコンに顔を突っ込んで居眠りをした後遺症で、
歯が食い込んだ所に口内炎ができてしまった。

3、4日前から空気が悪い日が続いているので、
外に出たいという誘惑がまったくないのはありがたい(?)限り。
でも、密閉された部屋で、「浄化装置」と一緒に暮らす日々は、まさに「缶詰」そのもの。
部屋をなるべく締め切りにするのは、
電気暖房が普及した後の冬の平屋生活では、習慣化しているので、
暑いのに部屋を締め切らねばならなくなる夏ほどは、抵抗がないのだけれど、
ここまで何日も締め切りだと、
今後は空気洗浄機に酸素ボンベをセットせねばならなくなるんじゃないか?
といった妄想が浮かぶ。

いや、「脱酸素」で缶詰を極めるか?

それは冗談として、

ほとんどふとんに入る暇もないくらい忙しい時の癒し方はズバリ、
「気持ち良さそうに寝ている相棒の顔を眺めること」
何だか自分も寝ているような気分になるからだ。

情況によってはごくごく稀に、
「何であんただけ寝てんのよ、ずるい!」
とイラっとすることもない訳ではないが、

だからといってさすがに、
相棒の眠りを妨げるような非情なことはしないので、
あちらは夢の世界にいて何にも知らない以上、
これくらいのうっぷんは許してちょんまげ。
徹夜になるのは、私の手際の悪さのせいだってのは、
自分でも知ってるからね。

が、それにしても、人の感じ方というものは、予測不可能だ。
ある時、疲れた私が
「アー眠い」
とぐったりベッドに倒れ込んだ時の相棒の一言。

「ハハ、溶けた妖怪みたい」

妖怪!

最近、妙な映画を観たからなのはわかるけど、
せめて人間にしてください。