北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

閲兵ブルーの北京とハバロフスクの風景

先日、北京に戻ってきました。今日は抗日+反ファシズム戦争勝利70周年の軍事パレード。
このイベントのもつ複雑な意味はさておき、
厳しい大気の管理がもたらしてくれた閲兵ブルーは衣服やシーツの洗濯には最適、
というわけで、昨日と今日は洗濯に励みました。

予想外だったのは、ここまで一般の店が閉まりまくるとは思っていなかったこと。
スーパーはもちろん、胡同の中の小さな八百屋までおおかた閉まってしまったので、食べ物の買いだめをちゃんとしておかなかった私は、ちょっと兵糧攻めに遭った気分になりました。

ちなみに、テレビは映画チャンネルも含め、視点が偏りがちな抗日関連のコンテンツばかりですが、ごくたまにあれこれ考えさせられる、わりと意味が深い戦争映画も流されています。
例えば、昨日の晩は硫黄島での戦闘を扱った、かの有名な「父親たちの星条旗」(2006年)、その前の晩は古いフランス映画の「追想」(1975年)が流れていました。

「追想」は、家族をドイツ軍に殺された著名な医師が、「個人」の立場でドイツ兵たちに復讐をする映画です。
こういうのを観ると、やっぱりなんやかやいっても、中国が良質の戦争映画をとれるようになって、日本も中国の戦場で起きたことをより深く、積極的に映画作品に盛り込むようになれば、もっといろんな情況がよくなるような気がしてなりません。上はたいして変わらないかもしれませんが、庶民の間に共通の何かが増えるでしょう。

もちろん、そういう力をもった作品がまったくないという訳ではないのですが。

何はともあれ、戦闘機や軍人さんばかりを見ていると、心もどこか殺伐としてきますから、FBとは重複しますが、以下、ハバロフスクで見たお花畑や愛嬌のある彫像、そして街の公園内を走る爽やかな路面電車などを連ねてみます。
とはいえ、ロシアでもこの写真を撮った頃は、9月2日の終戦記念日に向け、街中に70周年を祝うポスターが貼られていたのですが……。