北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

北京の鼓楼近くで平田オリザさんのアンドロイド版『変身』を鑑賞。
待ちに待っていた公演で、その分不安もあったものの、
期待を裏切らない、とはまさにこのこと。

人間ってなんだろう、心って何だろうなど、思考の空間がさまざまに広がる、刺激的な舞台でした。


舞台が引けた直後

上演後のトーク

舞台とトークの後で、ホールに出たら、出演者の一人で『トリコロール・赤の愛』で有名なイレーヌ・ジャコブさんが人込みの中に普通に立っていてびっくり。雨が降っていたので、1.5メートルくらいの至近距離で30分くらい雨宿りさせてもらった。

映画が好きなので、以前、コンサートに行ったら、となりに崔健が座っていた時くらいそわそわ。
そして、例によって、一言も話しかけられなかった(涙)。

でも一度、私の方を見てにっこり笑ってくれたので、もうそれだけで、今日はいい夢が見れそう。さすが大女優、笑顔にものすごくオーラが。どうりで、盗聴好き判事も心を許すはずだ……。
ちなみに、帰り路に、その「癒し」オーラを思い出していたら、私も曲がるべき角を100メートルくらい通り過ごした。
あぶない、あぶない。

ちなみに、アンドロイドの声と、間借り人の役をやったティエリさん(舞台上で左端の方)も、その知的で味わい深い声から得られる印象を裏切らない、舞台の意味を深く考えながら演じているのが伝わってくる方で、この人の出る舞台ならまた観てみたい、と思いました。