北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

ラバーダック、頤和園にあらわる

数日前に目玉焼き状態になったものの、その後復活した頤和園のラバー・ダック。




(最後の一枚以外、張全撮影)

ロッテルダムを拠点に活躍するアーティスト、フローレンティンジン・ホフマン氏の作品ですが、香港にもかつて出現したとか、今大阪にもいるとか、そういうことを知っているのは、都市部に住むインターネット世代が中心のはず。

ふと思ったのは、おのぼりさん観光客の多くは、この子を北京ダックの子分だと思っちゃったりしちゃうんじゃないかということ。何だ全聚徳、こんなところでもPRをして、とあきれる人もいたりするかもしれません。
実際、中国ではよく、デパートの入り口などで、空気を吹き込まれた巨大人形がくねりながら店の宣伝をしていたりしますし。

実はこの日、天気予報は「雨」でしたが、何とか曇り空でストップ。周囲が灰色にくすんでいる分、黄色いダックはひときわシュールに「浮き立って」ました。

視覚的な面白さがあるだけでなく、グローバル化、人と環境の関係など、ほんとうにいろんなことをイメージさせてくれるこのダック。その無邪気に湖にぷかぷか浮かんでいる様子を眺めていると、結構人間って子供っぽい感性丸出しで、地球や自然を好き勝手にいじっているんじゃないか、と思ったりもしました。

その一見シンプルで、実は奥深くも感じる意味は、いくら吟味してもしきれませんが、それはともかく、小鳥好きの私は、その姿の可愛さにもメロメロに。つい横に並ぶショップで通常サイズ?を一つ買ってしまったほど。

おかげで、机に置いておくだけでかなりの癒しに。これで、現在陥っている缶詰生活も何とか乗り切れそうです。

ちなみに、このラバーダック、26日まで頤和園を楽しんだ後は、台湾に行くのだとか。
水路沿いに南に下り、故宮のお堀を巡り、京杭大運河をドンブラコ泳いで海に出たらおもしろいですが、
どんなに可愛い子でもそこまでの旅はさせないでしょう。