北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

やっとこさ帰巣

さて、いよいよ旅も終りに。

移動は焦らず、がモットー(宿命?)なので大連、北京間の列車は全行程12時間のゆっくり型。

こんどは寝台がとれたので「ラッキー!」と喜んだはいいものの
とれたのは「上舗」。つまり松葉づえ組にはつらい三段ベットの上段。

ネットで予約すると自動的に割り当てられてしまうんですね。
本来なら相棒と二人分予約すると、どちらかが真ん中か下段になるのですが、
今回は乗車券が残り9枚だったので
「有無をいわさず」二人とも上段、となったようです。

さて、いざ乗車。
松葉づえ遣いで鍛えた腕で、何とか上舗まで上ったはいいものの、
下に降りるとまた上がるのが大変。

しかも、困った人を助けるのに躊躇しない人が多い中国では、
さっさと上がらずにちょっとでももがいたりしてしまうと、
親切な誰かが腕を取り、足を抱え、時にはおしり(!)まで支えてくれて、
上舗まで上げてくれそうです(これはその昔体験済み)。

心やさしく、体力もある人だったりすると、
「ベッドを代わってあげるよ」とまで言ってくれるはず(こちらも体験済み)。

それでは申し訳ない。

というわけで、私は晩の8時半に上に上がったまま、
まるでジャングルの「なまけもの」のごとく、
翌朝まで10時間半、上舗から下りずに過ごしたのでした。

下の段の人とまったくお話ができなかったのは残念だったけど、
最近はそもそも、乗客同士の列車内の会話自体が減っているもよう。

車内音楽も、北京行きの列車なんかだとへんに垢ぬけたものになっていて、
中国を旅行している、という実感が前ほど湧かない。
たまに長距離バスなどでコテコテの流行音楽がかかっていたりすると、すごく懐かしくなる。
これも時代の流れなんだろうな。

さて、

久々の胡同は雨上がり。青空と木漏れ日がまぶしい。

枝ぶりが妙に気になるのは、「なまけもの」体験のせい?

ただ、帰巣はまあまあ順調でも、その後がウルトラ不調。
「さあデスクワークだ」と腕まくりした矢先に、ネット環境とPCの調子がすこぶる悪い事が発覚。
昨日から苦戦していますが、改善には至らず。

というわけで、しばらく壁ごえもできそうにありません。
フェイスブックのお友達の皆さま、メールやコメントをいただいていたら、ごめんなさい。