北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

改造バイク、絶好調

胡同の散策を含め、北京での移動の大部分は、いつも相棒に改造してもらったバイクが頼みなのですが、
先日、そのニューバージョンが完成。

(写真/張全)
昨日、胡同会の活動で訪れた張家口でも大活躍しました。

松葉づえを使って街を移動していると、自分に対する分類が、「日本人」か否かという以前に、「障害者」になっていることを強く感じます。正直、それが気楽な時もあり、また自分が生活にはそれほど影響しない程度の障害しか持たないこともあって、ずるいのかも、と思ったりもします。さらには、周囲の反応から、中国で障害者が置かれている、決して楽ではない境遇に気づくこともあり、心中複雑です。

そういう時、自分にできることは、松葉づえ族だって外に出ていろいろとアクティブに活動できるんだってことを周囲に気付いてもらうことなのかも、と思ったりします。

改造自転車を興味深げにじっと見ている人がいたりすると、「ここを改造してるのさ」と教えてみたりします。
旅行先で足が悪い人と出会った時などに、「あなた、旅する気力があっていいわね」と言われると、「あなただってできるわよ」と励ましてみたりします。

もちろん私の場合、遠方への旅行ができるのは、理解し、助けてくれる相棒や友人たちがいるからこそで、誰もがそういう幸運に恵まれるとは限らない、とは分かっているのですが、敢えてこう言うのは、旅の可否や善し悪しは移動する距離ではなく、心の持ち方によって決まると思うからです。

極端な言い方をすれば、本を読むことだって旅、映画を観ることだって旅。
私にとって一番怖いのは、歩けなくなることより、他の世界を見てみたい、という好奇心が失われることなのかもしれません。