北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

2012-01-01から1年間の記事一覧

無敵の建物

成都を訪れる前に行った河南省開封で見つけた怖いものなしの風景です。 つい、これが人間だったら…と考えてしまいました。 貯金があって、IT通の頭脳でバンバン稼いでて、ルックスもばっちり、なんて、 嫌味すぎてつきあってられません。 いや、向こうがつ…

国際人形劇フェスティバルin成都 つづき

このイベントについては、まだまだ書きたいことがたくさんあるのですが、とりあえず集広舎のコラムに投稿させていただいたものを紹介します。http://www.shukousha.com/column/tada/1620/イベントの公式HPはこちら↓写真が多くて楽しいです。 http://bowuyuan…

インターミッション

数日間の実家での滞在を経て、明日からまた北京に戻るのですが、まだしばらく忙しく、来月までブログの更新が難しそうなので、成都郊外の古鎮で見つけた昼寝猫に登場してもらい、お茶を濁すことにします。ごめんなさい。 さすが「ネるコ」、天才的なくつろぎ…

国際人形劇フェスティバル UNIMA2012 

先週末、開封、四川への旅から戻りました。 基本的には取材旅行でしたが、趣味もちょっぴり兼ねていました。 最大の目標は、今回初の中国での開催となった国際人形劇フェスティバル「ウニマ2012」。 世界45カ国から65の人形劇団体が参加し、舞台で演じるとい…

書ってやっぱり面白い

以前このブログでもご紹介した日本人12人による書道展ですが、遅ればせながらやっと足を運ぶことができました。 会場は中庭に面した気持ちの良いカフェ「Shala CafeBar」。正直、私は書道に関してはまったくのしろうとで、小学校の頃から書道は大の苦手。…

ArtScapeの最新記事とアヒルの命運

最近の投稿記事を一本。http://artscape.jp/focus/10029054_1635.html現代的なスペースに、突然前近代的なものが飛びこむ面白さ。実はこれが日常化しているのも、胡同ライフの面白さの一つかもしれません。ご近所がアヒルのひなを飼い始めたのですが、これが…

胡同を歩く会・再スタート

長らく休止状態になっていた胡同を歩く会が、先日の土曜日、再スタートしました。2004年に始まったこの会。月一ペースで集まっては、北京の胡同をただひたすら歩きまわる、というごく単純な集まりでしたが、いろいろな発見があり、本当に楽しい会でした。た…

新・胡同ライフ発車!

新たな胡同に移ってはや二週間。まだまだ課題は多いものの、やっと荷物も何とかそれぞれの配置に収まり、部屋の中央を陣取っていた、荷物の八割を占めると思われる本も、まるで水でふやかした「ふえるワカメ」が干からび、またパッキングされたかのように本…

北京で書道展

現在、引越しの荷物と格闘中。 普段は周囲の多様性をかなり受け入れられる方だと自分を認識しているのですが、引越しで大量の本の箱詰めをせねばならない時ばかりは、ちょっと画一主義を志向してしまいます。なぜ、こんなに本の大きさってばらばらなんだ!箱…

地主だけでなく泣く子にも勝てない

あと一、二週間で今の家から引越し、という時に、新たな隣人がやってきました。実は以前からの顔見知りなのだけれど、いざ「お隣」になってみると、意外な事実が。それはその家の子供の夜泣きのひどさ。びっくりするくらい声が大きく、隣の家との間の壁はか…

トイレ・ドリームと中国式相撲

胡同の大雑院(多世帯四合院)に住む多くの人の夢。 それは、トイレつきの家に住むこと。実はこれがなかなか遠い夢。敷地内の配管の問題や、個々の世帯の家の面積の問題などからだろう。しかし、これさえ解決すれば胡同暮らしは最高、という人は多いと思うし…

すごい本が出ました

中国では出版できないような本なので、大きな声で宣伝はできないのですが、 この3月、また新たに訳著が出ました。楊継縄著『毛沢東 大躍進秘録』という本です。 http://www.junkudo.co.jp/detail.jsp?ISBN=9784163748603 今回は共訳で、後ろ半分を担当させて…

「中国におけるアニエス・ヴァルダの浜辺」展とパルケット展

唐突ですみませんが、恐らく今日の朝日新聞に拙文が掲載されます。 ここ数年、北京の現代アートのパートを担当させていただいている、文化芸能欄の『海外通信』という連載コラムです。 今回は、私が中央美術学院の美術館で観た展覧の中では、一、二を争う充…

艾未未の「木」と映画二つ(「到阜陽六百里」、「語路」)

これは半分仕事なのですが、 先日も楽しく展覧会めぐり。 車もブンブンとばしている京密路を電動バイクでぶいーんと駆け抜け、 一時間弱で芸術区へ。3月の北京はまだけっこう寒く、体を固定させたまま走ると、ちょっとほぐすのが大変。しかも、その日は「残…

あの震災から一年

調べ物をしていたら、偶然発見したサイト。原発問題をめぐる報道規制や言論統制、想像はしていたけど、ここまでひどかったとは……。でもこれもたぶん氷山の一角だと思う。http://matome.naver.jp/odai/2130183431868236701今回、日本に長く帰っていて、日本と…

アンドレイ・クルコフ氏と握手!

いろんなことに動じなくなり、緊張で顔が赤くなったり、心臓が早鐘を打つなんてこともめったになくなった私。しかし、今日ばかりは特別でした。読書好きにとって、好きな作家が自作について語るのを聞けることほど、嬉しい体験はありません。そして今日、北…

こういう催しがあるそうです

私自身は行けるかどうか微妙なのですが、以下のような有意義な催しがあるようなので、ご紹介します。日時:2012年.3月11日(日) 11:00〜14:30 場所:東湖別墅 クラブハウス3階 住所:東城区東直門外大街35号【イベント内容】 スクラップブッキング体験コーナ…

大失敗と大反省

北京に「戻ってきた」。本来なら「来た」というべきなのだろうが、 十年以上住むと完全にこちらが本拠地になっていて、他の場所にいると落ち着かない。だが、今回の帰路ほど、波乱に富んだものも少なかった。 一言で言えば、利用した交通機関が 「間に合った…

日本のテンポ

昨日、地元でJRに乗ろうとして、改札口に切符を入れた。が、そこでふと頭をあげると時刻表が目に入り、発車時間までぎりぎりだということに気づく。次の電車は20分以上後。どうしよう、と若干パニックになったところで、あっ前に出てきていた改札済み切符が…

レイモンド・カーヴァー『大聖堂』

別に四六時中本を読んでいるわけでもないのだけれど、最近読書運がいい。今日にいたっては、うまく言えないけれど、こころが震えてしまうような短編に出会ってしまった。それはレイモンド・カーヴァーの「ささやかだけれど、役に立つこと」そして「コンパー…

移民をめぐる2冊

実家の事情で、これまでなかったほどの長期帰省中。じっさい高校卒業以来だと思う。私は今実家がある場所には高校三年生の時に住んだだけなので、変化といっても、だいたいの印象にすぎないのだけれど、やっぱり変化はあるようだ。なかでもいちばんの変化は…