北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

あの震災から一年

調べ物をしていたら、偶然発見したサイト。原発問題をめぐる報道規制や言論統制、想像はしていたけど、ここまでひどかったとは……。でもこれもたぶん氷山の一角だと思う。

http://matome.naver.jp/odai/2130183431868236701

今回、日本に長く帰っていて、日本と中国が似てきた、いや、もともと似てたのかも、と感じた。

いちばん強く感じたのが、がれき処理が新聞の一面を飾りつづけた時期。
積極的な「救済」「援助」を前面に押し出すことで、悲惨な実態や肝心な責任問題を隠してた四川大震災の報道と本質的に似てる、と感じた。最初は受け入れ反対派の意見もきちんと載せていたのに、後半はまったく載せなくなった。

もちろん、私には「がれきは安全じゃない」と一蹴できる科学的知識なんてない。安全なら受け入れたってぜんぜん構わないと思う。ただ、次世代の子供のために、受け入れを不安に思うお母さん方の気持ちだけはよくわかった。だって下手をすれば今の世代のつけを子供に「最大限」回すことになるんだから。そして母親の「直感」ほど鋭いものはない。

それに、原発をめぐっては今やもう何を信じたらいいのかわからない、という人は少なくないと思う。だからメディアも、大本営の発表だけに頼って気安く「安全だ」という前に、まず電力会社の責任問題を徹底的に追及し、安全性をめぐる客観的で世界基準に基づいた報道をすることで、信用をきちんと取り戻すのが最優先なんじゃないか、と思った。

国民や社会をうまくだまし続けることで、秩序や体裁や利益や統治者のメンツを保つというのなら、やっていることはまさしく某国と同じ。むしろ、日本の方が表向きは一応、民主主義で言論の自由などがあると自称しているだけ、よっぽどたちが悪い。