北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

ArtScapeの最新記事とアヒルの命運

最近の投稿記事を一本。

http://artscape.jp/focus/10029054_1635.html

現代的なスペースに、突然前近代的なものが飛びこむ面白さ。

実はこれが日常化しているのも、胡同ライフの面白さの一つかもしれません。

ご近所がアヒルのひなを飼い始めたのですが、これが実に賑やか。以前の敷地ではニワトリを飼っていた家もあったので、隣に家畜用動物がいること自体は珍しいことではないのですが、今回が特殊なのは、今住んでいる敷地は猫がとても多いこと。入口から我が家にたどり着くまで、2匹見かけるなんてざらです。

外の通路の上に置かれたアヒルの籠が、彼らにとってどれほど魅力的か。これは言うまでもありません。
だから昼夜を問わず、しょっちゅうアヒルが騒ぎだします。猫の気配を感じるのでしょう。

ある日、二匹いたひなが一匹になっていました。
具体的に「なぜか」を想像するのはかなり怖いので、イマジネーション凍結。

「夜、どれほど怖い思いしてるか分からないね。自然界ではひなが一匹で暗闇で過ごすなんてことないもんね」と言う相棒に、120%同感。

でも、じゃあ仲間と一緒と言っても、北京ダックのアヒルみたいに、無理やり飼料を口に流し込まれ、人工的に太らされて、耐えた挙句に逆さに吊るされて丸焼き、なんてのも嫌かもしれない。

中国ではウサギや鳩もよく食用になりますが、いずれも胡同の住民がペットとして好んで飼う動物です。
もちろん、可愛がられていたペットが食用になることはあまりないと思われますが、

彼らを眺めながら、「人間ってほんと罪深いなあ」と日々反省できるのも、胡同ライフならでは、なのかもしれません。