北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

初盆出張旅行記 その2

さて、多少の寝不足など乗り越えて、上海駅に降り立った私たち。
発展を続ける上海の街並みを横目に、まっすぐ向かったのは東大名路にあるフェリー乗り場。

目標はなんと、鑑真号に乗ることです。

以前、ブログにも書いたように、長年航行していた天津‐神戸間の「燕京号」が休航になった時、私はホームシックならぬ、フェリーシックに駆られたのでした。かつて夢と不安を抱いて乗った日中間のフェリー、そのフェリーを久々に体験したくなった私。かなり腰が引けている夫を説得し、上海と神戸を結ぶフェリー、鑑真号を予約したのでした。

さて、船着き場に着くと、思いもかけぬレインボー建築が待っていました。以前は四角いシンプルな建物しかなかったように思うのですが、やはりこれも経済発展の成果でしょうか。

柱もレインボー、絨毯もレインボー、窓ガラスもレインボー、そして人はガラガラという、異次元的な空気に包まれての旅立ちとなりました。

そしていざ乗船!相棒にとっては初めての鑑真号ですし、私も久々ですから、もちろん甲板に出て待機。


遠くにバンドの一部が見えます。今回は上海はただ通り過ぎるだけだったので、以前のような洋館めぐりなどはできませんでした。次回こそはぜひ!と決意を新たに。

とうとう船出です。最初は黄浦江を航行するので海風ではないのですが、川面を吹く風を全身で受けながら外国に旅立つというのは、何ともいえず気持ちがいいものです。

まさにカモメになった気分。

河口に近付くとさすがに風も強くなってきたので、船の食堂部分に移動。
ビールを片手に窓から眺める大海原の夕焼けは、とても素敵でした。

やっぱり船にしてよかったね!とはしゃぐ私たち。
しかし、その後の私たちを待っていたのは、実に忘れがたい一夜でした……