北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

読書会開催!

北京在住の日本人の憩いの場、『サロン・ド・千華』で毎月の読書会が開かれていることは、ご存じの方も多いかもしれません。有志の方の努力で続いている、たいへん意義のある会です。昨日、その読書会で拙訳の『乾隆帝の幻玉』をとりあげていただきました。

寒風吹き荒れる冬の北京。外になんて出たくない、という方がほとんどと思われる中、参加者は20人前後に達し、何とも恐縮でした。毎日のように文章を書いたり訳したりしていても、読者の反応に触れられる機会はごくまれなもの。その意味でも、私にとって本当に貴重な場でした。参加して下さったみなさま、本当にありがとうございます。

そしてこの場を借りて、昨年、やはり『乾隆帝の幻玉』のために記念パーティを開いてくださった友人たちにも、改めてもう一度感謝の意を表したいと思います。

破壊ラッシュによる北京の街の大変化により、『乾隆帝の幻玉』のもつ「昔の北京」という背景が、どんどん「はるか昔」へと遠ざかりつつあるのは心から残念です。でも今回、同じ印象を持たれている方は多いことに気づき、何だか仲間を得た心持でした。

鋭いけれどお答えできない質問もたくさんあり、勉強不足で申し訳なかったですが、それもたいへんいい刺激になりました。また拙訳について、「語り」の口調が生かされている、という評価をいただけたのは、とても嬉しかったです。


今回、参加者の方々の好意をさらに温かく感じさせてくれたのは、『サロン・ド・千華』の方の温かいもてなしと、味わい深く、彩り美しいおせち料理。とにかく目を奪われました。家では贋物の「なんちゃって」日本料理ばかり作っている私としては、ここぞとばかり相棒に、「これがちゃんとした日本の家庭料理!」と強調。やはり、日本文化の印象を私の都合で勝手に捻じ曲げてはいけません。というか、バレる日はいつか来るものです。

正直、フリーランスの文筆業はたいへんです。よっぽどの「売れ筋」に手を出さないと、経済的にはぜんぜん報われない。でもそれだからこそ、読者の方の存在を感じられ、意見をうかがえる機会は、とても励みになります。
というわけで、これからもがんばります。参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。