北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

コラム更新と相棒の誕生日

連載中のコラム、また更新されました。
http://www.shukousha.com/column/tada/beijing026.html

この内容とも関連するのですが、北京の変化は本当に早い。

ところで相棒の誕生日は1月なのですが、私たちはいつも土日関係なく仕事しているので、その日、じゃあ思い切って一日休もう!ということに。

まずは、たっぷり寝不足を補い、

相棒の希望で、「寒くないところ」という半日コースに出発!

その1.東四の老舗の銭湯「清水泉」
リュックに着替えと洗面用具一式を入れて張り切って門をくぐる。でも、半分は予想していたけれど女湯は湯船なしでシャワーだけ。「衛生上の理由」とやらで北京はどこもそうだから仕方ない。しかも行った時間帯は女湯は閉まっていた。結局帰り途に相棒だけ利用したけど、「元はもっと大きかったはず。解放後、営業面積を縮小されちゃったんだな、きっと」と言っていた。

その2.王府井の「利生体育用品店」
20年ぶりに入ったという相棒。とーってもがっかりしてた。今はスポーツ用品店というよりスポーツファッション・メーカーの集まったデパート。でも、昔はスポーツに関わるものなら釣り竿からスキューバ・ダイビングの用具まで何でもあったらしい。
ちなみにかつてこの隣に、相棒が子供の頃よく行っていた銭湯があったそうな。それは、老北京を描いた映画に出てくるような、三助が出てきて垢すりや足の手入れなどをしてくれたり、髪を切ったりお茶が飲めたりする素敵な銭湯。しかし、王府井の銭湯の常連だったなんて、何だかかっこいい。ああみえて意外とシティボーイなんですね、相棒は。

その3.王府井の新東安市場
ここの地下にある「老北京一条街」が目的で入ったんだけど、入ってみて肩透かし。最近北京のあちこちによくあるデパートとほぼ同じになってしまってた。「老北京一条街」とは、昔の北京の街をテーマパーク風に再現しつつ、北京ならではのお土産を売ってたところ。同じ「再現もの」でも、前門の大失敗プロジェクトよりはまだずっと可愛かったんですが・・・。重ね重ね残念。
まだ老北京の物産を売っている売り場はあるけれども、名前の中の「東安市場」って部分を返上すべき日は近い、と思いました。もうほとんど香港のデパートです。

というわけで、どこに行っても「あれ??ない!」って感じで、北京の変化の早さをしみじみ実感した誕生日でした。

北京にお住まいの方々。北京でどこかに遊びに行こうと思っても、そこはもうないかもしれません。くれぐれもご注意を!

というか、誕生日を記念して、「歳月人を待たず」という言葉の意味を天の神様が私たちに暗示してくれたのでしょうか。