北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

上海の美術館2つ+ちょっと脱線

 12月の上海滞在では、いわゆる芸術家のアトリエや画廊が集まる芸術区をめぐる余裕はなかったが、その代わりに、美術館を二つ回ることができた。

 一つは近年、外灘に新しくできた外灘美術館。
 
 その名の通り、バンドから近い虎丘路20号にあり、1932年にイギリスの王立亜州文会によって建てられた亜洲文会博物院の建物がそのまま利用されている。出資はかの有名なロックフェラー財団。私が行った時は、有名な作家を集めた、けっこう見応えのある中国現代アート展が開かれていた。私が行った時にやっていたのはこれ↓
http://www.rockbundartmuseum.org/cn/cn_exhibitions_exhibitionDetail.asp?id=157
 ここは、チケットを買うと、自動的に最上階でコーヒーを一杯味わえる。これも、コーヒーファンには何とも嬉しいところ。

 もう一つは、移転とともに年末の閉館を待つばかりとなっていた、人民公園内の上海美術館。こちらは、中国の超リアリズム派田園作家、李自健の大々的な個展をしていた。個人的には、あまり惹かれなかったけれど、最上階の別の現代アート作家の展示の中には、ちょっと大胆なものもあって、面白かった。

 
 ここは最上階にとってくっつけたような仮設的西洋レストランがある。でも料理は結構本格的。こんな可愛らしいデザートも楽しめた。
 
 おごってくれたMさん、素敵な時間と美食をどうもありがとう! (今度の旅はおごられてばかり。そういうつもりではなかったのですが……)

 ちなみに現在、上海美術館は浦東新区にある中華芸術宮の方に移ったもよう。さらに付け足すと、旧上海美術館の横の当代芸術館では、フィンランドの現代デザインと著名ブランド、マリメッコのファッションをめぐる展覧会をやっていた。
http://www.mocashanghai.org/index.php?_function=exhibition&_subFunction=pastExhibition&exhibition_id=65&_view=detail&lang=chi
 興味があったけど、今回は時間がなくて断念。それにしても、街の中心部でこういう展覧会を開くところは、さすが上海だな、と思ってしまう。ここは以前、ピクサー展もやっていたところ。でも実は周辺は、おじいさん、おばあさんが多数憩っていて、時には結婚適齢期の人たちを対象にしたお見合い大会(保護者を主な対象に、候補者の条件を記した広告が延々と貼られる)も開かれてしまうような、いかにも典型的で庶民的な中国の公園。そのギャップも楽しい。