北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

緊急事態!鐘鼓楼一帯で伝統的な景観が破壊の危機に

ドイツ→日本→北京
のルートで恐ろしいニュースが届きました。

北京を代表する胡同エリアで、明清以前からの街並みを残し、胡同ファンにとっては最後の聖地に近かった鐘楼、鼓楼の一帯に、とうとう大規模な立ち退きと取り壊しのメスが入っているというのです。

耳を疑いながら、今日、現地に行ってみたところ、
ほんとうに、立ち退き関連のビラが貼られていました。
立ち退かされる世帯は500世帯以上に及ぶのだとか。
老舗の料理店なども含まれており、彼らには心から同情します。

ずるいなあ、と思ったのは、今回は「拆遷(取り壊しと立ち退き)」という言葉を一切使わず、「搬遷」という言葉を使っていること。「拆遷弁公室(取り壊しと立ち退きのための事務室)」もまだ影をひそめていて、立ち退く人に新たな住居をあてがう事務室があるだけ。

大規模な反対運動が起こった先回の失敗の轍を踏まないようにと、今回は周到に練られた計画の下、12月12日にかなり「こっそり」とスタートしたようです。

メディアの報道を強く制限しているようで、私もまったく知りませんでしたが、検索したらいくつかヒットしました。そのうち、一番説得力があって、本当に文化財保護のことを考え、古都としての北京の命運を真摯に案じていると思ったのは、以下の記事。

http://www.chinanews.com/cul/2012/06-07/3946805.shtml

政府側の「古都の風貌を取り戻す」という説明がまったくの詭弁であることを、見事に論証しています。

なるべく早く詳しいレポートを書きますが、もしご興味があり、中国語が読める方は、上のリンク先だけでも、どんどんと転送していただけると嬉しいです。一生に一度(だけではないかもしれませんが)のお願いということで、よろしくお願いします!