北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

消えゆく名将軍の庭

北京には、ぼんやりしていると、存在にさえ気づかぬまま消えていく文化財がたくさんあります。
昨年から気になっていた、西城区武定侯胡同(今は武定侯街)の郭英や大乗胡同にある宋哲元将軍の屋敷跡の情況をまとめました。
http://www.shukousha.com/column/tada/1976/

明代文学専攻ではありませんでしたが、大学で中国文学を勉強していたので、「郭武定本」のパトロンの屋敷だと思うと、ちょっと感慨深いものがあります。

北京広しといえども、明代の遺跡はそう多くはありません。それが失われようとしているのに、中国のメディアでこの情況を取り上げているところは見つかりません。

また、現在も遺族の方が住んでいると思われるので、大きくは取り上げませんでしたが、大乗胡同にある、蕭克将軍の故居も風前のともしびのようです。
蕭克将軍は、護憲派の雑誌、『炎黄春秋』の出版を支えた方として知られています。

金融街は国全体の金融を支えるところなのでしょうが、歴史や文化財の清算まで担えるのでしょうか。かなり疑問です。