北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

メトロポリタン美術館展についての補足&館長のコメント

ちなみに、国家博物館のメトロポリタン美術館展ですが、その後、やはり予約なしで行くと、平日でも並ばねばなければならないケースがあることが分かりました。
http://www.chnmuseum.cn/tabid/434/InfoID/22545/frtid/206/Default.aspx
このサイトにあるように、Y+参観希望日+パスポート番号(または身分証明書番号)を携帯電話のショートメッセージで電話番号10660208まで送って予約をしておくと、並ぶ可能性が低くなるかと思います。当日は博物館の北東にあるチケット交付所でチケットを受け取り、北門から入る形になります。

実は参観について書いた直後、2月20日付の「新京報」に今回の「メトロポリタン美術館展」に関する記事が載りました。そこで分かったのは、やはり国家博物館側(あるいは中国の美術関係者側?)に、メトロポリタンの美術館の成功の秘訣を知りたいという気持ちがあるらしきこと。

もちろん、帝国主義の拡張という時代背景をもたない国家博物館には、世界中の至宝をコレクションできる条件は(少なくとも今のところ)ないわけですが、やはり世界でトップクラスの美術館に仲間入りしたい、という野望は捨てがたいのでしょう。

金融危機で世界中の多くの著名美術館が危機的状況に陥った中、政府の援助を受けない独立採算のメトロポリタン美術館は、入場者をむしろ増やしたのだとか。

でも、メトロポリタン美術館のキャンベル館長は新京報の記者を相手に、こんなコメントを残していました。

「世界クラスの博物館にはいくつかの条件がある。一に建築、二にコレクション、三に観衆、四に展覧会の企画者と学術研究スタッフ…(中略)…もちろん、まだ大事な点がある。それは思想の自由だ」。

締めくくりの言葉がピリリと効いています。博物館員、美術館員の実力向上については、中国美術館などもかなり力を入れているようで、スタッフである私の友人もドイツに研修に行っていました。厳しい制限がある中で、個々のスタッフもいろいろと頑張ってはいるようですが、最後の条件を見ると、なかなか前途は多難そうです。