北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

日本最古の学生寮、吉田寮にいよいよ新棟

大学の学部時代、二年間暮らした吉田寮。1913年に建てられた、現存する日本最古の学生寮なのですが、とうとう具体的な新棟建設計画が実施に。

http://www.kentsu.co.jp/webnews/html_top/121204700013.html

住んでいた頃は、折ごとに寮生大会が開かれ、みなで徹夜で大学側から提示された新棟の建設条件に反対したりしていましたが……。

ちなみに、私はきわめてふまじめな寮生だったのですが、当時、ひょんなことから寮の「文化部」の「長」を一期務めることになったことは、中国で今も冗談に使わせてもらっています。

今思えば、吉田寮は独特の磁場をもったかけがえのない空間で、寮を出た後もしょっちゅう足を運んでいました。

新棟の建設とともに、旧寮がどうなるのかは、まだ不明ですが、寮生大会などに使われていた旧食堂部分には、すでにかなり取り壊しのつち音が近付いているもよう。

数年前、相棒と泊まりに行った時、相棒は建物に強烈な印象を持ったようでしたが、大学紛争時代の痕跡が色濃く残る旧食堂部分は、とりわけ忘れられなかったようです。びっくりするほどボロボロの建物なんですが、やはり私と同じように、建物が語りかける何かを感じ取ったのでしょう。

ただただ古く味わいのある建物に惹かれる不思議。やはり、学生時代の出会いは一生を決める、というのは本当のようです。