北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

日中で昆劇交流

このサイト、現在中国では開けなくなってしまったようなのですが、
連載コラム「北京の胡同から」に拙文が掲載されましたので、お知らせします。
5月5日に行われた、日本昆劇之友社と北方昆曲劇院の共同公演に関する記事です。

http://www.shukousha.com/column/tada/2285/

今の時期、このような試みが実現したことは、実に貴重だったと思います。舞台では日中の役者さんや楽団員さん、いずれもまさにずばり「熱演」で、昆劇への愛情に満ちており、本当に心温まる思いでした。

実は私は「国粋」という言葉が好きではありません。本物の粋なら国の枠を越えるはずですし、日中を問わず、そこには決して、少数民族の文化が含まれることはないからです。

でもかといって、日本人がもともと持っていたはずの、中国の文化を尊重し、敬愛する心を捨て去るのも、あまりに惜しいことだと思います。

今回の執筆は、私も以前、中国江南地方の笛をやっていたため、とても親近感をもって仕上げることができました。当時上海で、笛を手に中国の楽団の人たちと合奏をしていると、「面白いなあ、音楽だけで心が通じちゃうから、言葉なんていらないな」とつくづく思ったものでした。これじゃあ中国語を勉強しなくなっちゃう、と危機感も覚えましたが。

というわけで、北京在住13年になる私が、いまだにちょっと変な中国語をしゃべり、以心伝心(?)で補っているのは、この名残、と言い訳させていただきます。