北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

仙台も謎がいっぱい

今さらで申し訳ないが、昨年の旅の続き。

仙台の胡同、じゃなくて横丁も面白かった、ということでしつこく仙台の話題。

横丁に行く前に、まずは仙台の歴史に敬意を表すべく、仙台城跡へ。
建物はすべて失われているけれども、城壁はまだ残っている。

近くで見るためのサンプルもちゃんとあって、
こちらが表で

こちらが裏。

絶妙な積み方も見ものだが、裏にくさびが打ち込まれるなど細かい工夫も。
相棒はこういうのを見ると、しきりにどうやって運んだろう、と不思議がる。

「きっと、仙台は寒いから冬に水をぶちまけて道を凍らせて、その上を転がしたんだよ」と私が超テキトーな説を主張していると、
親切な解説の方が、細い木を線路の枕木のように並べて、その上を転がしたのだ、と教えてくれた。

さすがの仙台も道路が一瞬で凍るほど寒くはなかったらしい。
何より、観光客もそう多くない城壁の上に、親切な解説の方がいることに感激。仙台って素敵!

それにしても、やっぱり石はどんな過酷な戦争を経ても残るんだなあ、と、こんなところで中国の人が必死になって石碑を作る理由に深々とうなずく。

夜、仙台の街へと繰り出すと、街頭に並んでいる時計の下に不思議な人影が。

向き合っているのは儒と武? 日本と中国?
都合良く、かってに日中会談をしているものと解釈する。
(その後、貴重な情報をいただき、支倉常長とローマ法王だと判明)

地方都市の商店街には廃れているものが多い中、ここはまだまだ元気なのがうらやましい。

よく見ると、あちこちに「がんばろう」の文字が見える。やっぱがんばってるから元気なんだ。

商店街から一歩細い通りに入る。
噂にたがわず胡同、じゃない横丁が充実していて、感動。

ふと見ると街角にこんな絵が。

あれ、何か飛んでいる。

ここで思い出すのは「空飛ぶ鯨」の歌。
調べてみたら、この曲はみなみらんぼうさんの作詞作曲。みなみさんは宮城県出身ということで、敬意を表しているのか?

でも考えれば、この曲は森を追い出され、海に住んでいた鯨たちが、地上が荒れるとともに海にも住めなくなって空に飛び立つお話。

背筋が寒くなるほど暗示的。40年も前の歌だが、時代を超えても色あせないどころか、ますます鮮やかになる歌ってあるもの。
つい、私も鯨を描き足したい衝動に駆られる。

さらに進むと、仙台の胡同、じゃなくて横丁には、個性的なお店がぎっしり。


仙台にはまだ会津藩があるらしい。

横丁の中のあちこちに、昔の写真が貼ってあった。

道行く人から情報を公募していて面白い。
みんなまじめな事ばかり書いているので、仙台の人ってまじめだなあ、と変な所に感心する。

あ、ユーモアも発見。だが、意味不明。

残念ながら入れなかったけど、面白そうな古本屋さん。

呑んでも立っていられて、本まで読める人にはうってつけ。私は無理か?


芸術的な手汲み式の井戸。
ビー玉とタイルでゆるキャラ風の竜神様が描かれている。昔は近所の人々の洗濯場だったが、その後使われなくなり、放置されていたところを、NPO法人と大学生たちが再生させたのだとか。




このお店は、私の眼球をわしづかみ。
ドアの向こうは昭和ってことは、タイムマシーンつきどこでもドア?

実際、横丁の裏には昭和的建物もちらほら。

北京在住者はちょっとどドキリとしてしまうネーミングの美容院。

うちのカモ肉は本物だ、と主張しているらしきお肉屋さん。

ヘロヘロ版剥製? それにしてもちょっとびっくり。


賑やかな商店街の合間に、こんなワイルドな階段が。
気分はいつでもハックルベリー・フィン?

最後はやっぱり仙台名物「ずんだ餅」でごちそうさま。