北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

個展裏話 胡同の七つの味

今回の展覧会のタイトルを決めていた時のこと。

相棒が「チーウェイとチーウェイ、どっちにしようかな〜」と悶々としているので、
「何迷っているの?」と聞いたら、
「胡同の後を気味(チーウェイ)にしようかな、七味(チーウェイ)にしようかな?」とのこと。

「なんで七味が出てきたの?どんな七つの味?」

「だって日本の食堂にはたいてい七味があるでしょ。食べ物屋さんでやるんだから、味と関係あるタイトルが面白いかも……」

そこで私は即座に「そば屋じゃないんだから」と却下。

中国語の「味」には「におい」と「味」の両方の意味があるので、中国語的にはOK。ちょっとポエムだし、レインボーチックで広がりがあって面白いかな、とも思うのですが、

ふと日本語の感覚に戻ると、やっぱり七味は七味。どうしても例の赤い瓶が思い浮かんでしまう……

言葉って面白くも難しいです。