東岳廟の廟会
北京で春節を過ごす人の多くが、無視したくてもなかなか無視しきれないイベントがある。
廟会だ。露店がたくさん出る縁日のようなものだが、近年は公園などで開かれることがほとんどで、ほとんどお寺や宗教とは関係のないイベントとなっている。
この廟会、人も多いし、場所も広すぎて疲れるし、今年はもう行くのやめよう、と思ったりするのだけれど、無視したまま二、三日が過ぎると、ちょっとそわそわし始めてしまい、やっぱり一目見ておこうかな、とつい行ってしまう。
特に我が家の近くの東岳廟の廟会は毎年、民芸関係に重点を置きつつ開かれるので、ついふらふらっと足が向かいがちだ。
というわけで、例にもれず、今年も東岳廟に足を運んだのだが、いつもより人が少ないので拍子抜けした。たぶん、理由は食べ物の屋台がまったくないからだ。
北京文化を重視した廟会にする、ということで、去年くらいから、露店の食べ物が昔ながらの北京の軽食に限られたことは確か。でも去年までは何やかや食べ物の露店があった。
だが、今年は飲み食いできるものはお茶しかなかった。でも空きっ腹にお茶はつらい。なので、スル―。
食べ物系屋台が消えたのは制限が一層厳しくなったためか、はたまた去年食べ物系が売れなかったためか。そもそも、今年は廟会全体で露店が出店をしぶっていると聞いたから、そのあおりもあるのかもしれない。
もっとも、というか、だから、なのかもしれないが、祈願用の札や、道家秘符などという魔よけのお札のようなものは充実していた。硬貨代わりの銅片を各自が穴あき銭の穴の中の鐘に当てる金運占いも相変わらず人気だ。
そういう意味では本来のお廟らしいノリだったともいえるが、こういうのばかりが健在なのは景気が悪いからではないか、とちょっと心配にもなる。
そんな感じではあったけれど、昔のおもちゃを展示した展示室は充実していたし、雑技などのめったに見られない演目も見られたので、結局のところ、民間物ファンには楽しく、収穫の多い廟会だった。中国こま「空竹」などもあるので、その気になれば、運動不足も解消できるはずだ(私は「その気」にはならなかったが)。
というわけで、下手な写真で恐縮だけれど、以下、駆け足でご紹介。
ねずみ使い 実験室のマウスよりはこっちが幸せだろう、と自分を納得させながら見る。
音の鳴る風車たち プラスチック製が増える中、こちらは手作りの味わいがたっぷり
縁起物として有名な馬の周りも、人はそれほど多くなかった。というわけで、撫で放題。
やっぱり民芸って独特の味がある。
お陰さまで、お腹はすいても、ごちそうさま気分だった。