北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

本をめぐる東城区の環境

とうとう、日中の気温が体温に近づいたので、区の図書館に逃避。
知らぬ間に閲覧室で無料WIFIが使えるようになっていてびっくり。
以前はパソコンコーナーでしかネットはできず、要身分証だったのに。

帰りに三聯書店に寄る。日本の小説の翻訳物コーナーがすごくパワーアップしているのに励まされる。偏りはあるけど、江戸川乱歩シリーズがあんなに揃う本屋なんて、日本でもそうそうないんじゃないだろうか。
「風立ちぬ」のサンプル本なんか、二冊ともボロボロになっていた。

夜9時に閉まると思っていたら開いているので、あれっ?と思ったら、今は24時間営業とのこと。

これはすでに三聯の伝統ともいえるが、
地下階への階段の両脇は相変わらず「立ち読み」ならぬ「座り読み」の連中でいっぱい。

しかも地下の一角と一階の窓際には、試し読み用の机と椅子とランプが新たにずらりと設置されている。
何て太っ腹!とここでまたびっくり。

だが、つい思ってしまう。
近所だし、ここって夜、夫婦喧嘩した時の逃げ場に最適なんじゃ?

相棒にも「ここに来たらいいよ、探すの楽だし!」と勧める。

苦笑いし合う相棒と私は、お互い前科1。
いや、一度で十分ですが。