北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

鳴かない青い鳥

しつこく、また水笛のお話。

楽器の文化には洋の東西でつながっているものが多いですが、
この水笛もしかりで、
以前訪れたハバロフスクでもロシア人のおじさんが、
プラスチック製のものを路傍で売っていました。

どうみても工場で大量生産されたものっぽいのに、
売っているおじさんは
「俺の手作りだ!」
と主張するので、つい中国での見聞を当てはめ、

働いていた玩具工場が倒産して、未払いの給料などが
売れ残りの製品による現物支給でごまかされてしまったのでは、

と勘ぐってしまった私ですが、
もちろん、考え過ぎかもしれません。

いずれにせよ、つっこんで確かめる語学力はなかったので、
「そうなんだあ、すごいねえ」
と、素直に納得したふりをして、買ってしまいました。

ごっついおじさんが、道端でこんな可愛いものを、
しかも「ピョロピョロ〜」と可憐な音を出しながら売っていたために、
同じく笛好きとして、どこか奇妙な親近感を覚えたからでもありますが、一番の理由は、

それが青い鳥だったから。

幸せの青い鳥!

連れて帰ると、なんかいいことがありそうじゃないですか。

でも、いざ持ち帰り、よく洗って、水を入れてから鳴らそうとしても、
うまく鳴らない。

今日、もしやと思って、また試してみましたが、やっぱり駄目です。
ということは、単なる「売れ残り」どころか、「検品不合格」の不良品??

鳴けない青い鳥
あるいは
鳴く気がない青い鳥

なんか、「青い」だけに、よけい寂しい……