北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

ほとんど遊べなかったこの夏もいよいよ終盤が目の前。
山とか草原に避暑に行きたかったけど、まったく時間なし。
遊べなかったから、名残惜しさもないぞ!
というのはもちろん強がりで、
やっぱ、ちょっとくらいは名残惜しがりたいかも。

NHKラジオ『まいにち中国語』のテキストに連載している
「遊びの達人玩児家たち」
のお知らせ、ずっと滞っていましたが、
無事続いています。

今出ている8月号では、本が大好きでたまらず、
蒐集に明け暮れた末、本屋を開いたり出版を始めたりしてしまった、
張業宏さんをインタビューしました。
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000009101082016.html?utm_source=nhk&utm_medium=www.nhk.or.jp%2Fmygogaku&utm_campaign=mygogaku2016
(試し読みは口絵のみです。ごめんなさい)

本が大好きで、面白そうなものがあると、つい懐の寒さを無視して買ってしまう、
というのは私も同じですが、
彼の場合はスケールがまったく違います。

彼の「蜜蜂書店」に所狭しと並ぶ本は、こだわりの一冊ばかり。
美術関係、仏教関係、古い洋書が好きな方などには、とくにお勧めです。

とりわけ銅版画入りの西洋の古書の装飾の美しさにはため息が出ました。

実質主義を面白く表現した中国のことわざに、
「包子有肉不在褶上」(まんじゅうの肉は外のひだについているのではない)
というのがあって、つまり、
実際に価値のある部分は、外側を飾るきれいなひだではなく、内側にあるのだ、
という意味なのですが、

やっぱりひだが綺麗だったら、
いい加減に作っているわけではないのだ、と、ちょっと安心して食べられます。
(とはいえ、私は肉まんより野菜まんじゅうが好きなのですが)

見かけ倒しの本、というものも、もちろん無くはないですが、
装丁にこだわりがある本は、内容に対する作り手の思い入れが感じられて、
気持ちがいいし、幸福感を覚えるものです。
そして、まさにそんな本を先日、ある方からいただきました。

というわけで、またこんどご紹介します。