北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

うつむいてばかりじゃダメなんだが マカオ編

一日半しか滞在しなかった、年末のマカオ。
宿が高すぎてとても予約は不可。すでに夜だったので、野宿を覚悟しつつ、伝説のカジノ、旧リスボアへ。

あたりはネオンきらめく夜の街。目までエレクトリックにチカチカ。

一応、「娯楽場」と表記されているが、「楽」しまれる内容は賭博。レトロな感じの薄暗い廊下で迷いながらウロウロ。露出度のたいへん高いセクシーなお姉さんたちや、顔に愛想のかけらもないクールな従業員に圧倒される。

賭けをしようにも、いくら眺めてもやり方が分からない。従業員に聞いても、見て覚えてください、とのこと。
というわけで、近くの食堂で食事をしながら一休み。
でも、地図を広げて次にどこ行こうかと考えていたら、やくざっぽいおかみさんに、「ここは地図見るところじゃない!」と席を追われる。
こう見えても、私たちは福の神。追い出したらろくなことないよ、と意味のない捨て台詞を(声に出さずに)吐いて、適当に市バスに乗る。

でも、マカオのバス路線はとても複雑。グルグル走るが、面白そうな繁華街に行かない。
それでも、真っ暗な街の片隅に運よく24時間営業のマクドナルドを見つけ、一休み。

そして、「休みをもらった夜勤族」らしきお兄さんたちの賑やかなおしゃべりに囲まれつつ、マクド泊。賑やかどころか、立て続けにしゃべりまくるので、うるさかった。で、眠れず、一応綿密に翌日の計画を立ててみる。

だが翌朝、綿密だったはずの計画は複雑なバス路線の壁に阻まれ、玉砕。結局いきあたりばったりに。いとこ夫妻やその友人たちとの待ち合わせ場所だったカジノ、ヴェネチアンへ向かうも、約束に一時間半遅れる。何と豪快な遅れ方!ごめんなさい、リリアンさん。

香港に住むポルトガル人の友人が勧めてくれたポルトガル料理店で、本格的な料理と自家製ワインを賞味。

ポルトガル語が流暢な店主が登場。でも、マカオで住民がポルトガル語を話すのを聞いたのは、その時だけだった。ラッキーにも店主は気質も陽気なラテン系。客の数を数えるとき、ちゃっかり自分も勘定に。確かにこの人と一緒にご飯を食べたら楽しいだろうな。

午後は、美しいマカオの街並みを満喫。やっぱりお隣とちがって文革を経ていないから、建物たちの生き生き度と保存状態が素敵、と感心しつつも、

目はやっぱり地面へ……。

でも、実はこの敷石も、ポルトガル風なんだそう。
となると、世界各地の敷石の文化を比べてみるのも、結構面白いかもしれない。
というわけで、
今日はちょっと前向きに(完)。
といっても、次はどこ行こう??