北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

緑茶+ミントが許せるようになった日

慣れというものは恐ろしい。

学生時代、欧米人の友人何人かに、緑茶は葉っぱ臭いから嫌い、と言われ、ちょっとびっくりした。広く愛されている嗜好品だからといって、どれもが国境を越えられる訳じゃないらしい。

でも、言われてみれば緑茶って葉っぱの匂いがする。ある日、アメリカ産のミント入りの緑茶を見て、ああ、ミントが入れば茶葉の生臭さを消せるから、売り物になるんだな、と納得した。

でも、私も一応は元静岡県人。子供の頃から濃くてしぶーいお茶には慣れている。
だから、ミント入りなんて邪道だ!と思っていた。
なのに、人の舌ってわからないもの。最近、あの微妙な歯磨き粉のような味にハマってしまった。慣れると、埃っぽい日などは、のどに気持ちが良い。痰の切れにも効果的な気がする。

考えたら、北京の気候は日本より絶対的にアメリカに近い、乾燥した大陸性気候。体が土地に慣れてしまったから、ミント入り緑茶も許せるようになってしまったんだろうか。

何だか、オタマジャクシがカエルになるときの気分がちょっとだけ分かった気がする。