北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

雨の晩に思ったこと

おととい、中国の人々にとってとても大事な方が亡くなった。 中国でも、すごく多くの知人が、いろんな形でその知らせや 彼への追悼文を発表していて、少し驚いた。もちろん彼のことはここしばらく注目されてはいたけれど、 それは中国以外のメディアでの話。…

『ラジオ深夜便』「アジアリポート」で北京を担当

NHKラジオ第一放送 『ラジオ深夜便』の今晩、午前0時台(日付は8日)に始まる 「アジアリポート」という番組で、 北京のレポートを担当させていただくことになりました。 アジア各地のレポーターが順にレポートをする番組で、 今後の担当はだいたい3カ月に1…

このたび、ARTSCAPE フォーカス欄に以下の記事を投稿させていただきました。 【北京】『変化と規制のなかでの模索』 http://artscape.jp/focus/10136845_1635.html胡同の店というのはもともと、一つや二つ消えても、住人や常連でない限り、なかなか気づかな…

長江国際映像ビエンナーレ

取り急ぎお知らせのみにて。 重慶で取材した、長江国際ビエンナーレに関する拙文が、 27日付の朝日新聞夕刊に掲載されました。 無料版はさわりだけで恐縮ですが、ご興味があればぜひご覧下さい。 http://www.asahi.com/articles/DA3S13007571.htmlちなみに、…

しばらく相棒と旅をしていた。

古い街を巡っていると、よく味のある床屋を見つける。 ふだん、近所に腕のいい床屋がなくなったことを嘆いている相棒は、 ここはもしかして?という希望を抱いて、そういう床屋に入ったりする。 もともと、旅の記念に髪を切るのが好きなのだ。中国の床屋の面…

「一帯一路国際協力ハイレベルフォーラム」前夜の、 交通規制がじわじわと始まった長安街付近。この「丸」と「四角」の間を電動バイクで駆け抜ける。 四角の方は、風向きがぴったりすぎて、CGみたい。もちろん、私が用があったのは丸い方。 天才バイオリニス…

遅ればせながら、北京映画祭について

今年、7回目を迎えた北京国際映画祭。 北京に来たばかりの時は、北京で国際映画祭が開かれたらどんなにいいだろう、と思っていたが、いざ始まってみると、 商談ベースの映画祭という位置づけで、正直、あまり期待できないなあという印象だった。だが7年の間…

駆け足の春

北京の春はほんとうに駆け足だ。やっと本格的な春が来たなあ、と思ってから4、5日後ぐらいに、 北京の北西にある798芸術区で見かけたライラックと、 もう春は終わりなのかも、と思ったおとといに、北京の西の古墓で見かけた野の花。 こういう風景を見ると一…

春の日壇公園

春の日壇公園を散歩。 (張全撮影) 早咲きなのか、あるいは北京の春が日本より早く来るからなのか、 すでに終わりが近い様子。 プレートを見ると、1972年に日本から送られた桜らしい。 その奥には、童謡そのままのチューリップ畑 まだつぼみも目立つけれど…

NHKラジオ中国語講座のテキストで担当させていただいている口絵と巻末エッセイ、今年度のテーマは「老街古道」です。 中国語を勉強されている方はもちろん、道に興味がある方、旅が好きな方、旅した気分になりたい方などいらっしゃいましたら、 手に取ってい…

「この素晴らしき世界」と『ビラブド』

先日、家のテレビである映画を観た後、相棒が、 「さっきの曲、なんの曲?誰が歌ってるの?」としつこく聞いてきた。 その映画では、とくに目新しい曲を聴いた印象がなかったので、私はちんぷんかんぷん。曲折を経て、その曲はルイ・アームストロングの「こ…

難民を描いた映画「Le chant des hommes」

昨晩北京のフランス文化センターで「Le chant des hommes」を鑑賞した。 http://www.cinenews.be/fr/films/le-chant-des-hommes/videos/56526/ベルギーの映画で、邦題は『人間の歌』らしい。 主人公は、ベルギーで滞在許可を得ようとして何年も粘ったものの…

ごぶさたしていてごめんなさい。まだちょっと落ち着かないので、今日は幕間のコント。 ある日、重いものを背負った「まんねん日本語勉強中」の相棒。急に 重いー 重あーる 重さーん 重すーと言い始めた。 一、二、三、四は中国語でいー、あーる、さん、すー…

書きたいことが山ほどたまっているのですが、 あれこれ事情があって、なかなか更新ができず、歯がゆいばかりです。取り急ぎご報告です。本日発売されたばかりの 岩波書店『世界』2017年3月号に 〈問題を解決する展覧会〉 「借用と変革」展が掘り起こす、戦前…

春節の明かりいろいろ

ここ数年はずっとそうなのだが、 今年も北京で春節を迎えることに。 というわけで、毎年恒例の鼓楼、鐘楼見物。 人が少ない旧年内にお寺参りも。 やっぱり、お寺は気持ちが静まるなあ、と思っていたら、これを見て目が点に。 薬師大師さまが「女が男に転ずる…

茹でねばできぬ、ラーメンも

人生、なせばなる。 何事も諦めちゃいけない。相棒の誕生日に長寿麺(誕生日に食べる長い麺)を作っていた時、 まだ生煮えの時に、プロパンガスが切れた。 なんでよりによって今切れるんだ!と憮然とするも、3分くらい頭が真っ白になった後、 負けてはならぬ…

朝日新聞の美術欄に、「借用と変革」展

ちょっと仕事が立て込んでいるので、短いご報告で恐縮ですが、 今日の朝日新聞夕刊の美術欄に投稿しました。 (東アジアの窓)中国画の発展と日本留学戦前の日本画が中国からの美術留学生に与えた影響をめぐる展覧会 「借用と変革」展の紹介です。 場所は深…

2010年に中央公論新社から出させていただいた拙訳の『乾隆帝の幻玉 老北京骨董異聞』 胡同作家、劉一達さんの代表作で、私個人もとても思い入れのある本なのですが、 残念ながら出版から7年が経ったこともあり、まもなく絶版だそうです。乾隆帝の幻玉 老北京…

昨日から日本でも公開中のロウ・イエ監督の『ブラインド・マッサージ』について、 本とは違う角度から、紹介してみました(数日中に若干、訂正が入る可能性がありますが、大意は変わりません)。webDICE骰子の眼 2017年1月12日掲載

毎日新聞に紹介

1月4日付の毎日新聞のブックウォッチングに拙著の紹介が掲載されました。本の内容が分かりやすく伝わり、ありがたいですし、励まされます。 http://mainichi.jp/articles/20170104/ddm/015/070/027000c

鳴かない青い鳥

しつこく、また水笛のお話。楽器の文化には洋の東西でつながっているものが多いですが、 この水笛もしかりで、 以前訪れたハバロフスクでもロシア人のおじさんが、 プラスチック製のものを路傍で売っていました。どうみても工場で大量生産されたものっぽいの…

暇ではないのに、暇人っぽい新年のご挨拶

我が家の鳥グッズに出演をお願いし、お遊び版、新年のごあいさつ。YouTubeで、すみません。 このブログの制約で、ビデオはこちらにしか貼れないようです。実は、今現在は私自身もYoutubeは見られないので、 このリンクが開くかどうかも確かめようがなく、恐…

別れと出会い

しばらくぶりの北京で気付いた、「消失」と「出現」。「消えていたもの」 最寄りの日系スーパー。2週間前に店じまいしたとのこと。期待していたお正月用の食材が手に入らず、がっかり。「増えていたもの」 自転車マーク。自動車が路駐し放題の胡同に、自転車…

年明けましておめでとうございます。 北京は勢い抜群です。 空気の汚染度を示す指数が一時期600を越え、インターネットの規制も超強力で、 視界もネットも見通しがきかない年明けとなりました。ちなみに、この写真に写っているのは、 昨年の春節明けに、西安…

『美術手帖』1月号に書評掲載&小学館『中日辞典 第3版』のコラム・巻末附録担当

嬉しいことに、 雑誌『美術手帖』の1月号の方で、拙著が紹介されました。 美術手帖2017年1月号実はもう一つご報告があり、先日発売された小学館の中日辞典第3版で、一部のコラムと巻末附録の執筆を担当させていただきました。相棒の張全も写真を多数、提供…

先回の日記で試みた画像の追加、何度試しても失敗します。 「はてなダイアリー」では時々、どう試してもアップできない画像があって、困ります。 サイズや縦横の比率、タイトルや保存場所などをどういじっても、頑なに拒否されてしまいます。 まさか好き嫌い…

横並びの風景

実際問題の処理が全般的に苦手な私は、 役所関係の手続きも苦手。 で、今日も一日、書類やウェブサイトとにらめっこ。 世の中はなんて複雑に出来ているんだ、と嘆く。今回出した本もそうだけれど、 私はどうも、既成のジャンルや秩序に入り込むのが苦手らし…

上映会&トークイベント、無事終了

移動や外出が続いていたため、ご報告が遅れて申し訳ありません。 11月24日に神保町のブックカフェ、「チェッコリ」で開かれた『ようこそ、羊さま』上映会&『映画と歩む、新世紀の中国』出版記念トークイベント、盛況のうちに終了しました。活発なご質問から…

刊行記念イベント&『ようこそ、羊さま。』上映会*[映画]

11月24日に東京の神保町で映画の上映会を兼ねた拙著の刊行記念イベントが開かれます。ご興味のある方は、ぜひいらしてください。 (以下晶文社さんからの詳細です。) ■ 開催日:2016年11月24日(木) ■ 時 間:18:00〜21:00 ■参加費:1…

今日は幸い、ケン・ローチ監督の新作『I, Daniel Blake』を鑑賞することができた。 滑り込みでEU映画祭に間に合ったお陰だ。 徹底的に弱者の側に立った『I, Daniel Blake』には深い共感を覚え、 何度も涙腺がゆるんでしまった。 福祉制度はいくら一見立派…