北京・胡同逍遥

北京、胡同で暮らした十数年間の雑記 by 多田麻美/ Asami Tada

2014-01-01から1年間の記事一覧

個展期間延長&壁の中での待機

張全の展覧会、「胡同気味(胡同の匂い)」、もともとの展示期間は月末まででしたが、次の展覧会の日程の関係で延長される可能性が高いようです。 今日明日は空気の状態も悪いようですので、興味はあるけどまだ時間がとれていない、という方も、無理に急がな…

「地底の葬列」鑑賞会

参加者の一人として行った「地底の葬列」鑑賞会。でも、内容があまりに興味深く、意義深かったので、つい記事にしてしまいました。 http://www.shukousha.com/column/tada/2932/フィルムや講演ももちろんすばらしかったですが、質疑応答の時間を十分にとって…

春風胡同

昨日、取材の後の胡同散策で。 ああ、風がもうすっかり春だなあ、と思っていたら、たまたま通ったのが、春風胡同。 とはいえ、とうに胡同は消失、このビルも下は不動産仲介会社。ああ、無情。ちなみに、ここはムスリム街、牛街の近く。清朝の頃、ここにあっ…

「まいにち中国語」連載スタート

今日は、連載開始のお知らせです。 NHKラジオテキスト「まいにち中国語」で、今年も4月号から一年間、口絵とコラムを担当させていただくことになりました。 張全が巻頭の口絵、私が巻末のコラム担当です。 今年のテーマは「市場へ行こう!」。さまざまな切り…

遠くて近い大陸の反対側

とうとうクリミア半島がロシアに編入されそうな勢い。ウクライナ情勢がどんどんと緊迫するようになってから、私はずっと小説家のアンドレイ・クルコフ氏のことを心配していた。 レニングラードで生まれ、3歳の頃からウクライナのキエフで暮らしているという…

見ようによっては

最近、よくジュースを作るようになった。台所が狭い事もあって、迷いに迷ったが、結局誘惑に逆らえず、ひと月ほど前、やっと意を決して、小型のジューサーを買ったからだ。100元以下なのに容器がガラスなのが嬉しく、洗うのも楽ちん。 ジュース作りの楽しい…

佐渡多真子さんの写真展「你去哪儿?」

昨日、やっとTAMで開かれている写真家佐渡多真子さんの個展を拝見する機会に恵まれました。ロバの表情の豊かさもすばらしかったですが、ウイグルの風を感じる臨場感に、つい1994年のウイグルでの一人旅を思い出しました。当時私は、ロバ車に揺られながら、御…

うやむやになったピーナッツ事件

パンが切れたので、昨晩生まれて初めてロールパンに挑戦。 怪しい物でもないのに、例によって深夜すぎにいそいそと生地の形を整える。鉄板に並べ、ちょっと別の用事をしに部屋を出たのが運のつき。 戻ってくると、パンにピーナッツが突き刺さっていた。しか…

呼び名って難しい

昨日の朝、目ざまし代わりにラジオで現代版「評書」(中国の講談)を聴いた。日中戦争モノだったので、またか、と思ったが、よく聴いてみると、単なる二極分化系からはちょっと進化していて、太平洋戦争中、日本人の多くが大本営発表に騙される様子が描かれ…

空間「楽漁樵」と清水恵美さんの個展

最近、中国では「小而精(小さくても精緻に)」を追い求める動きが流行っているという。今はもう、スケールやサイズの大きさを求める時代ではない。小さくても精緻なもの、気遣いや思い入れの行き届いたものを大事にしよう。そんな志向が中国の一部の人々の…

個展裏話 胡同の七つの味

今回の展覧会のタイトルを決めていた時のこと。相棒が「チーウェイとチーウェイ、どっちにしようかな〜」と悶々としているので、 「何迷っているの?」と聞いたら、 「胡同の後を気味(チーウェイ)にしようかな、七味(チーウェイ)にしようかな?」とのこ…

カフェバー「Shala」にて写真展「胡同気味(胡同の匂い)」を開催

いつも一緒に仕事をしている相棒で夫の張全が、 建外SOHO西区にあるおいしくておしゃれなカフェバー「Shala」(沙羅珈琲)で2月21日よりミニ写真展を開きます。 北京にいらっしゃる方でお時間とご興味のある方はぜひご覧ください。以下がお知らせと行き方で…

爆竹炸裂の元宵節

今日は元宵節。元宵と呼ばれる団子を食べることで有名な日だが、もう一つ大事なのは、 北京の都心で爆竹が許される最後の日だということ。今朝の新聞の一面には「煙霧があるので、花火には相応しくない」と大きく見出しが出ていた。実際に今、大気はかなり思…

どうでもいい話

つい最近、日本映画の中国語字幕を観察していた時のこと。 人の名の後につける「〜ちゃん」を「〜醤」と訳していることに気付いた。 例えば、「福ちゃん」は「福醤」。「はは、面白いね、でもそしたら、私は麻美だから、麻醤(ごまだれ)だね。北京っ子は麻…

春節すぎて初雪

2日ほど前、いよいよ北京で初雪が降りました。私の知っている限り、春節が明けてやっと初雪が降るなんて初めて。 雪の日ならではの冷え込み方を、どこかほっとした気持ちで味わっています。青空が広がった翌日、道が歩きやすくなるのを待って、近所を散歩。 …

仙台も謎がいっぱい

今さらで申し訳ないが、昨年の旅の続き。仙台の胡同、じゃなくて横丁も面白かった、ということでしつこく仙台の話題。横丁に行く前に、まずは仙台の歴史に敬意を表すべく、仙台城跡へ。 建物はすべて失われているけれども、城壁はまだ残っている。 近くで見…

謎の現象

昨日、CCTV6で夜9時に林志玲主演の日中合作映画、「スイートハートチョコレート」を流していてびっくりした。そもそも規制があるため、中国のテレビ局で外国のコンテンツが流れることは少ないが、なかでも、夜の外国語映画枠は最近、どんどんと時間が遅くな…

ART SCAPE FOCUS 2月1日号 「考えるコピーマシーン」

「コピー」や「反復」は悪者扱いされがちですが、時に力強い表現にもなります。絵を描くことをパフォーマンスにしてしまった、いわば「考えるコピーマシーン」夏星。その9年がかりの力作をタリン・サイモンの作品と一緒に紹介してみました。ちなみに、作品に…

東岳廟の廟会

北京で春節を過ごす人の多くが、無視したくてもなかなか無視しきれないイベントがある。廟会だ。露店がたくさん出る縁日のようなものだが、近年は公園などで開かれることがほとんどで、ほとんどお寺や宗教とは関係のないイベントとなっている。この廟会、人…

消えたタイムズスクエア

今年の春節は、普通の人にとっては尋常すぎるほど尋常なのに、私にとってはかなり尋常ならぬ迎え方となった。新しい家族が忽然と何人も目の前に現れたからだが、それはもうおとぎ話のようなことなので、フィクションの世界に投げ込むことにする。日本と中国…

防毒テディ・ベアと電子爆竹

爆竹大炸裂の前夜。さすがにPM2.5は気になるのか、今年の爆竹売り場はちょっと肩身が狭そう。空気の状態によっては規制される可能性も高いが、買い控えしている人はどれくらいいるのだろう?何はともあれ、今や防塵マスクは大事な正月用品。近くの薬局では売…

明日の朝日新聞夕刊「海外通信」に拙稿掲載

明日(29日)の朝日新聞の夕刊の「海外通信」欄に北京の現代アートと伝統芸術に関する拙稿が掲載される予定です。事情があって、先回の投稿からだいぶ時間が空いてしまいましたが、興味のある方はご覧いただけると幸いです。ネット版で見られるかな?と探し…

カメは無国境

先回の帰省中、親戚を連れて地元めぐりをした。コミュニケーション不足が常態化し、もはや不足とも認識していない我が家では、相棒と私は、どこに連れて行かれるかまったく分からないまま、車の後部座席に乗り込んだ。最初に行ったのは、浜松の航空自衛隊基…

モニュメントとしての校舎

今回ばかりは、私なんかが書いていいんだろうか、と真剣に悩んだのですが、 やっぱり書いてしまいました。私自身は恥ずかしいほど勉強不足、準備不足だったのですが、 仙台でいただいたご縁、うかがったお話がそれを十二分に補ってくれるほどすばらしかった…

仙台の月

12月の帰国では仙台に行った。 ちょうど震災三周年まで三か月という12月11日に、 津波の被害が大きかったことで知られるゆりあげ地区を歩くことができた。ネットのおかげで、海外にいても、東北の震災についての情報はいろいろと入ってくる。 でも、どんなに…

一人っ子政策と人権

最近、一人っ子政策が緩和されるかもしれない、という情報をよく耳にするようになった。 社会の高齢化を食い止めるため、ということらしいが、正直、私はちょっと複雑な気持ちだ。一人っ子政策がもたらしたゆがみについては、私もその世代の学生たちと大学で…

やっと明けました

明けましておめでとうございます夫で相棒の張全が昨年春に撮ったこの写真をアップしたくて、 数日前からいろいろやっていたのですが、 どうしてもアップできず。 こんな遅いご挨拶となってしまいました。幸い、おまわりさんに捕まることもなく、無事北京に戻…